今年は2ケタ成長。もっともっと伸びる

　──ターゲットとなる業種の拡大を目指して、製造や文教を開拓されるとうかがいました。規模に関しては、どのような企業を狙っていますか。

　長谷川　これまで私どもは、ビデオ会議システムをオンプレミス型で構築する大手企業を重要なターゲットにしてきました。そしてこれからも、大手企業の市場は十分に開拓の余地があるとみています。ある調査会社によると、日本の1部上場企業の約40％が、まだビデオ会議のシステムを導入していません。このような状況ですから、ハイタッチ営業による大手企業への提案活動に力を入れていきます。

　一方、中堅・中小企業（SMB）向けビジネスも強化します。SMBの市場を開拓するにあたっては、高額のオンプレミス構築ではなく、クラウド型での提供に大きなチャンスがあると考えています。今、大手企業からSMBまでをフルにカバーできるよう、パートナー体制を強化しているところです。

　──今後のパートナー戦略について、具体的に聞かせてください。

　長谷川　市場の特定のセグメント──例えば、文教を得意とするパートナーを増やしていくことが柱となります。期待しているのは、ある分野に特化して強い専門性をもつパートナーです。バラエティに富んだパートナー体制をつくり、パートナーの強みを当社のターゲットとなる市場分野にマッチングさせる。これを実現するために、現在、複数の会社と話を進めています。

　これまでのビデオ会議のユーザー企業のなかには、せっかくシステムを導入したのに、操作が難しいことなどを理由に機能をフルに活用していないケースが多くみられました。現在は技術の進化によって操作性や音声品質が大きく向上し、ビデオ会議システムを本来のあるべき姿で使うことができるようになっています。そんななかで、ビデオ会議システムは、販売パートナーにとって有望な商材の一つになっているに違いありません。ぜひとも当社のビデオ会議システムを、多くのパートナーの方々の手で販売していただきたいですね。

　──2010年度、ポリコムの全世界での売上高は約12億米ドル。グローバル戦略では、日本市場をどのように位置づけておられますか。

　長谷川　震災後のBCP需要拡大などがカンフル剤になって、日本市場での売り上げは順調に伸び、このところアジアでの存在感は大きくなっています。ポリコムにとって、アジアで最も大きいウェートを占める市場は中国。今後も、日本の売上構成比が中国を上回ることはないでしょう。しかし、日本は成長が著しく、中国に次ぐかたちで、ますます重要な市場になりつつあります。当社は日本で事業を伸ばし、アジアでの成長をリードしていきたい。

　──今年の売上目標を教えてください。

　長谷川　2012年の目標は2ケタ成長。しかし、最初に申し上げたように、ビデオ会議システムの市場はもっともっと伸びると確信しています。今後の著しい成長に大いに期待を寄せながら、国内ビジネスの拡大に本腰を入れていきます。

眼光紙背 ～取材を終えて～