クラウドが代表するように、ITの世界でサービス化が進行し、サーバーなどのハードウェアビジネスが厳しいといわれている。苦境にあるのは、ハードウェアをメインとする販売会社だけではない。ITサポート会社もまた窮地に立たされている。そんな状況にあって、2014年6月24日、NECフィールディングの社長に、中江靖之氏が就任した。果たして、会社をどのような方向に導こうとしているのか。「社員に飯を食わせるために舵を切る」とし、大胆な方向転換に打って出ようとしている中江社長に戦略をたずねた。
「オフィス丸ごとプランニング」でIT以外でもサポート
──今年4月に常務、そして6月に社長に就任されたわけですが、NECフィールディングという会社にはどのような思い入れがありますか。 中江 2010年に社外取締役となり、当社をみていましたので、そのときの印象も含めて申し上げますが、当社は全国に約400拠点をもっていて、およそ6000人の社員のうち4000人のカスタマエンジニア(CE)が24時間サポートをしています。ITシステムを使うお客様にとっての「縁の下の力持ち」になっていることが当社の強みです。ITサポート会社として、これに尽きますね。
──このような強みをもつNECフィールディングを、社長として、どのような方向に進めようとしておられるのですか。 中江 社員に飯を食わせていかなければならないので、会社を間違った方向に進めることは許されない。だからといって、思い切ったことに手を出さないというのでは、ジリ貧になるだけです。だから、大きく方向転換しようと考えています。
先ほど、全国400拠点、およそ4000人のCEが当社の強みと申し上げましたが、これらのマンパワーを生かして、今後はIT機器の保守だけでなく、オフィスのさまざまなものをサポートしていきます。「オフィス丸ごとプランニング」という仮称で呼んでいますが、「当社に任していただければ、何でもやりますよ」というスタンスで、お客様とつき合っていきます。「オフィス」と表現しましたが、もちろんオフィスに加えて、病院や学校なども対象として、さまざまなことをプランニングしていきます。そのためのプロジェクトチームを立ち上げました。
──具体的には、どのようなプランニングに取り組むのですか。 中江 細かいものを含めて1000種類ほど用意する予定ですが、日本企業が海外にオフィスを構える際に、自社でこなすべき、こまごましたことを思い浮かべていただければイメージしやすいと思います。新オフィスを設立する際のオフィスのレイアウトから机の設置、電話やネットワークの配線工事、そしてITシステムの構築などです。新オフィスを構えるとき以外でも、何でも任せることができる「御用聞き」のようなサービス会社があれば、お客様にとって便利だし、安心です。ですので、蛍光灯の取り替えや空調機などの入れ替え、またオフィス家具の設置など、何でもやります。
搬入するデリバリ網と設置のノウハウを生かして、CEが24時間体制でサポートする。現場でお客様のお手伝いをすることはたくさんあります。細かなことでも、お客様が困っておられることがあれば、それを解決するサービスを提供していきます。
[次のページ]