三菱総合研究所(MRI、大森京太社長)は、今夏の電力不足による産業別の生産額減少の試算を4月18日に公表した。電力供給不足に伴い、電力使用量が前年同期比で今夏1%減少したときの産業全体での減少額は、全国平均で0.9%減少すると見込んでいる。

 MRIは、実際に今夏の電力使用量は、変動要因が大きく不確定であると前置きしたうえで、「全国で前年同期比で、おそらく5%の減少には届かない」(MRI政策・経済研究センター主任研究員の武田洋子シニアエコノミスト)と推測する。電力使用量が7~9月期でおよそ仮に5%減であるとして試算すると、単純計算で生産額全体は期間内で4.5%減となる。

 試算に照らし合わせると、電力使用量が今夏、前年同期比1%減少時で、生産額が大きい業種は電子機器2.1%減、機械・設備2.1%減、鉄鋼1.9%減、鉱業1.8%減、化学製品1.7%減、自動車・部品1.6%減など。逆に全業種平均より減少幅が少ない業種は保険・金融0.8%減、通信0.6%減、商業0.5%減、運輸業0.8%減、その他サービス業0.5%減など。(図表参照) 

全国電力消費量1%減少時の各産業の生産額に与える影響

 業種ごとに濃淡があり、非製造業よりも製造業への影響が大きく、なかでも、日本の主要輸出産業である電子機器、機械・設備、鉄鋼などへの影響が大きい。

 政府・電力需給緊急対策本部は、今夏の電力不足に備えて15~25%のピーク時電力消費の節電を求めることを提示している。大口ユーザーほど節約幅が大きい内容だが、武田シニアエコノミストは「全国でならして見ると、電力使用量の今夏の減少は前年同期比で5%に届かないと推測される」とする。それでも、「今夏の気温や電力供給量など、不確定要素が多い」と、正確な予測は現時点では難しいと話した。試算では、実際の電力使用量が減った分を当てはめることで、業種別生産額の今夏期間内での概算減少予測を行っている。(安藤章司)