IDC Japan(竹内正人代表取締役)は、国内クラウドサービス市場の予測を発表した。

 2011年の国内クラウドサービス市場規模は、前年度比45.6%増の660億円となる見込み。東日本大震災の影響で国内経済は低迷しており、企業のIT投資意欲が低下。一方で、リスク管理の意識は高まっており、電力供給不足に対する懸念からも、事業継続性を強化するためにデータセンターサービスやクラウドサービスに対する需要は急激に増加していると分析する。

国内クラウドサービス市場 セグメント別売上額予測、2010~15年

 ただし、震災後、にわかにクラウドサービス活用の検討を始めた企業にとって、「標準化されたサービス」というクラウドサービスの特徴が導入障壁となっていると指摘。クラウドサービスを活用するためには、業務プロセスやITアーキテクチャーの見直しが欠かせないが、一般的にこれらの見直しには時間を要するとして、結果的に短期間で比較的導入の容易なデータバックアップなどでクラウドサービスの利用が促進されているとみる。

 短期的にはクラウドサービスを導入できなかったとしても、クラウドを検討する企業が増加していることは大きな意味がある。「標準化されたサービス」は、「迅速性」「拡張/縮小性」「低価格性」などの価値をもたらす重要な要素。クラウドを検討し、理解を深めた企業にとって、「標準化されたサービス」はクラウドサービスの将来的な利用を阻害するものではないとした。

 大震災は、短期的には国内クラウドサービス市場規模を大きく押し上げる要因とはならないものの、クラウドサービスの優位性を訴求する重要な機会。中長期的には、国内市場の成長を加速させる要因となると分析する。今後の国内クラウドサービス市場は、2010~15年の年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は41.3%で推移し、15年には2557億円の市場規模になると予測する。この予測は、11年3月時点(大震災前)の調査結果と比較して、600億円以上の上方修正となった。

国内クラウドサービス市場予測 2010~15年、11年3月調査と同年6月調査の比較

 国内クラウドサービス市場では、リスクを管理しながらクラウドサービスを利用するユーザーがこれまで以上に増加。ユーザーがリスク管理を強化するためには、サービス課題を含めた徹底的な情報開示がベンダーには求められる。松本聡ITサービスグループリサーチマネージャーは「競合状況が激化するなか、徹底的な情報開示はベンダーに対するユーザーの信頼を向上させ、市場競争力を高める」と話している。(信澤健太)