セールスフォース・ドットコム(宇陀栄次社長)は、5月28日、東京・赤坂でプライベートイベント「Customer Company Tour」を開催した。基調講演には米本社のマーク・ベニオフ会長兼CEOが登場し、「Become a Customer Company ~新しいカタチで顧客とつながる」と題して、製品の連携による利便性、メーカーと顧客のコミュニケーション向上など、顧客を中心につながる世界を目指す「カスタマーカンパニー」になることの重要性を説明した。

マーク・ベニオフ会長兼CEO

 基調講演は、ステージを設けて講演する一般的なスタイルではなく、ベニオフ会長兼CEOが基調講演の参加者に歩いて近づきながら講演するというスタイルで行った。まず、ベニオフ会長兼CEOは、「お客様の声を聞くことが最も重要。そのために日本に来た」と来日の理由を述べ、「お客様と製品をつなげるために、メーカーが製品開発に力を注いでいるが、今はまったく新しいつながり方を追求していかなければならない時代だ。当社にとってはよい時代になっている」と説明。さらに、クラウドとCRMのNo.1メーカーとして世界で認められ、これによって売上高が前年比20%と順調に推移していることをアピールした。

マーク・ベニオフ会長兼CEOは参加者に歩み寄るスタイルで講演

 メインフレームを“第一の時代”とすると、いまはサーバーを中心とした“第二の時代”から、インターネットを通じてさまざまな製品やサービスがつながる“第三の時代”に突入しようとしている。こうした流れのなかで、「テクノロジーではなく、お客様にフォーカスしなければならず、製品やサービスを提供する側もお客様とつながっている『カスタマカンパニー』を目指すことが重要となる」とした。また、顧客に変革を与えるキーワードとして、「ソーシャル」「モバイル」「ビッグデータ」「コミュニティ」「アプリケーション」「クラウド」「トラスト」を挙げた。

 ゲストスピーカーとして登場した経済産業省中小企業庁の鍜治克彦事業環境部長は、中小企業・小規模事業者を支援するマッチングサービスの提供を7月に開始することを発表。鍜治部長は、「中小企業や小規模事業者は、下請けを中心にビジネスを手がけているが、大手企業が海外でのビジネスを重視していることで厳しい状況になっている。しかし、日本の下請け技術は秀でており、日本経済を押し上げる可能性は大きい。そこでマッチングサービスを提供することになった」と述べた。このサービスのプラットフォームには、セールスフォースのクラウドサービスを採用。今後3年以内に、100万社・1万人の利用を目指す。

 CRMサービス「Salesforce」を導入しているオリックス野球クラブの湊通夫取締役事業本部長兼企画事業部長は、「ファンとの一番のコミュニケーションは、球場に来てもらうことだが、ファンが何を考えているのかを把握することも重要となる。ITを駆使して、ファンに最適なサービスを提供していく」と述べた。セールスフォースのユーザー企業であるトヨタカローラ徳島の北島義貴社長は、IT化によって「“モノの提供”ではなく“コトの提供”に力を注ぎ、お客様に安心を提供していく」とした。

左から中小企業庁の鍜治克彦事業環境部長、オリックス野球クラブの湊通夫取締役、
トヨタカローラ徳島の北島義貴社長

 最後に、ベニオフ会長兼CEOが「みなさんの声が聞きたい」と、ユーザー企業が何を考えているかを把握するという今回のイベントの開催目的を改めて強調し、基調講演の幕を下ろした。(佐相彰彦)