日本AMDが、産業用デバイスや医療機器、ゲーム機器などの組み込み開発分野で、APUの拡販に取り組んでいる。CPUとGPUを組み合わせたAPUは、AMD独自のコンセプトにもとづいた製品。このAPUが、PCとは違う分野でも活用できると判断し、今年3月に組み込み製品に特化した組織を設置した。昨年末からアジアパシフィック・日本地域を担当するデビット・ベネット上席副社長兼ジェネラルマネージャーに話を聞いた。

 

デビット・ベネット上級副社長

――日本AMDのビジネスは、現在どのような状況か。

ベネット これまでは、PCメーカーに対してCPUやAPUなどを提供するOEMを中心に展開してきた。PC分野のビジネスはもちろんこのまま継続するが、現在は違うマーケットの開拓に力を入れている。それは組み込み分野だ。

――なぜ、組み込み分野のビジネスに力を入れるのか。

ベネット 例えば、ゲーム機器関連は日本で多くの需要があり、まだまだ市場が拡大する可能性がある。また、デジタルサイネージ関連では、コンテンツ配信を管理するニーズが高まっているので、現在、液晶ディスプレイへのGPU搭載に取り組んでいる。メディカル関連もIT化が進み、より鮮明な映像を求めている。このような環境から、当社のAPUやGPUが必要になると確信している。また、FA(ファクトリー・オートメーション)など、産業用デバイスにも提案している。

――組み込み分野のビジネスを拡大するうえで、重要なことは何か。

ベネット PCメーカー以外とのアライアンスだ。これまでは、日本市場の組み込み分野を米国本社でカバーしていたが、これを日本法人でカバーするようにした。3月に新設した組み込み製品事業部を中心に、ゲーム機器メーカーや医療機器メーカー、産業用デバイスメーカーなど、これまであまり接点のなかったベンダーと積極的にアライアンスを組んでいく。PC分野についてはノウハウをもち、ビジネスモデルが確立していると自負しているが、組み込み分野はこれからなので、新組織の人員増を含めて積極的に投資していく。

――アライアンスを組んだメーカーは、APUやGPUを搭載した製品を、販社を通じてユーザー企業に販売できるのか。

ベネット APU、GPUがベネフィットだと意識しているユーザー企業に対して、まずは当社からアプローチをかけるほか、APUやGPUのメリットを改めて伝えることで導入事例を増やしていく。もちろん、アライアンスパートナーとともに需要を掘り起こす活動も進めていくつもりだ。

――具体的な目標は。

ベネット 現在、PCへのOEMを中心としたクライアント関連ビジネスの売上比率は90%以上で、それ以外のビジネスの比率は低い。しかし、2015年末までには、クライアント関連ビジネスが50%、それ以外が50%になるよう計画を立てている。PC関連ビジネスも手がけていくが、今後は他社と一線を画した戦略によって、組み込み分野で主導権を握りたい。(佐相彰彦)