データセンター(DC)運営のKVH(東瀬エドワード社長兼CEO)は、プライベートクラウドサービスで、ネットワーク機器の“ソフトウェアアプライアンス化”を推進している。特定ユーザーだけが使うプライベートなクラウド環境の多くは物理サーバーが20~30台程度と規模が小さい。しかし、規模の大小にかかわらず、スイッチやファイアウォール、ロードバランサなどのネットワーク機器は必要で、コストを押し上げていた。ソフトウェア方式でアプライアンス化することで、この部分のコストを削減し、ユーザーの負担を軽減するのが今回のKVHの狙いだ。

濱田義之
執行役員
 ネットワーク機器は、もともと専用のハードウェア(アプライアンス)製品だったが、近年では汎用サーバーにソフトウェアをインストールして使うソフトアプライアンス化が進んでいる。KVHは、ソフト会社のミドクラジャパンの技術を活用することで、ネットワーク機器を仮想サーバー上で動かす方式を採用。「プライベートクラウド Type-S」の名称で、この夏からサービス化に踏み出した。KVHの濱田義之・テクノロジー本部執行役員は、「ネットワーク機器を仮想サーバー上のソフトウェアとして動かすことによってユーザーのコスト負担を軽減し、使い勝手を改善した」と話す。

 専用の物理サーバー上でネットワーク機器のソフトアプライアンスを動作させるのではなく、今回は仮想サーバー上で動作させる──。この点が、KVHの技術提携先であるミドクラジャパンの特徴になっている。特定の物理サーバーを専有するのではなく、あくまでも仮想サーバーで動作するので、負荷分散が容易なことが利点だ。濱田執行役員は、「30台なら30台の物理サーバーのリソースを、仮想化することによってバランスよく使うことができる」と、トータルでみて物理サーバーの削減につながると説明する。

 「数十台クラスの物理サーバーに物理のネットワーク機器を加えれば、一つのサーバーラックに収まるかどうかの微妙なラインにある」と濱田執行役員はいう。DCの利用料の観点でみると、1ラック分のスペースを借りるのと2ラック分を借りるのとでは、コストは単純計算で倍違う。ネットワーク器材を仮想サーバーの中に入れてしまうことで、1ラックのスペースに収めやすくなる。

 また、KVHは、ミドクラジャパンとの連携をきっかけとして、クラウド管理ソフトをオープンソースソフトのOpenStackに変更。ネットワーク機器のソフトアプライアンス化とともにユーザーや販売パートナーであるSIerやソフト開発会社(ISV)の使い勝手をよくして、コスト負担を軽減した。こうした取り組みによって、プライベートクラウド事業を含めたITマネジメントサービス事業セグメントの今期(2014年12月期)売上高は前年度比35%増を見込む。(安藤章司)