芝ソフト(魏芝社長)の上海現地法人は、これまでの主力事業だった日本向けオフショア開発から、ビジネスモデルの転換を急いでいる。かつては開発者を中心に百数十人の従業員を抱えていたが、すでに20人程度まで削減した。現在は、血液から健康状態を測定する「血液分析システム」に商機があるとみて、数億円を投資している。

 芝ソフト上海法人は、2008年のリーマンショックを皮切りに、日本向けオフショア開発の売上高が減少。さらに、近年は中国国内の人件費が高騰し、円安元高という足かせもある。王健総経理社長は、「日本向けオフショア開発に成長は期待できない。そこで現在は、付加価値が高い自社製品の開発・提供に力を入れている」と説明する。

 王総経理が目をつけたのが、血液から健康状態を測定する「血液分析システム」だ。北京の医療機関で研究していたプロジェクトを引き継ぎ、医者などの専門家を含めた十数人のチームを結成。顕微鏡などの機器とコンピュータ、ソフトウェアを組み合わせたシステムを開発した。王総経理によると、「指から一滴の血液を採取して分析することで、わずか1時間でがんや糖尿病などの発症状況を正確に測定できる。すでに患っている病気だけでなく、病気に向かいつつある未病も測定できるので、早めに手が打てる」という。

 すでに山西省の病院への納入実績があるほか、システムを活用した健康状態の測定サービスを一回800元で提供している。王総経理によると、「中国国内の複数の商業協会と協力し、会員サービスに組み込んでもらうなどしている。すでに数万人にサービスを提供した」という。

 10月末には、「血液分析システム」の新バージョンを発売する。王総経理は、「さらに分析の精度を向上し、システムを小型化した」とアピールする。前バージョンは、複数の装置を組み合わせていたので設定や電源管理に手間がかかったが、新製品ではこれらを一つのきょう体に集約。コンピュータと接続するだけで利用でき、小型で持ち運びもできる。

 芝ソフト上海法人のここ数年の売上高は2億円程度。以前は日本向けオフショア開発が売り上げの大部分を占めていたが、現在は「『血液分析システム』関連の売上高が90%を占めるまでに成長している」(王総経理)。今後、新バージョンを医療機関に販売するとともに、測定サービスの利用者に対しては日本の医療機関を紹介したり、予約したりできるシステムを開発・提供していく。

 「血液分析システム」は、現段階では第三者機関による認証を得られていない。王総経理は、「早い段階で論文を提出して、高い品質を証明する」と、次の一手を説明した。(上海支局 真鍋武)

王健総経理