NEC(遠藤信博社長)は、フィリピン政府の市民防衛局(OCD)および国営放送(PTV)と共同で、地上波デジタル放送を通して災害情報を提供できる防災情報システムを構築し、実証を行った。

 フィリピンでは、地上波デジタル放送の技術方式として、日本方式の「ISDB-T」を採用しており、現在、政府による国内制度の整備や放送事業者によるインフラ整備が進められている。日本方式は、緊急警報放送やデータ放送を活用して、災害情報を迅速で広範囲に伝達できる機能を備えており、2013年11月に台風30号による大規模な被害が発生したフィリピンでは、同機能を生かした防災情報システムの導入が期待されている。

 今回の実証は、NECがOCD内にクラウドを活用して構築した防災システムから、PTVの放送網を利用し、関係機関に設置した約20か所30台のテレビに対して、台風による被害の軽減を目的とした情報を配信するもの。待機状態にあるテレビやワンセグ受信機を、緊急警報信号によって自動で電源オンにし、テレビ映像や字幕ともに連動するデータ放送で、避難情報などを提供できる。NECによると、地上波デジタル放送での「データ放送」と、受信機の自動電源オン機能をもつ「緊急警報放送」を連動するシステムを用いた実際の放送波での実証は、世界初の試み。

 また、同システムでは、日本無線の協力によって、PTVの放送網と連動したサイレン・スピーカ局を設置し、災害時に音声アナウンスやサイレンで地域住民へ情報伝達する手段も実現した。