日立システムズ(北野昌宏社長)とクラリオン(川本英利社長兼COO)は6月23日、茨城県笠間市の協力のもと、今年4月から笠間市で「服薬支援クラウドサービス」の試験導入と、笠間市が運用する「介護健診ネットワーク」との連携に関する実証実験を行ったと発表した。

 笠間市が運用する介護健診ネットワークは、要介護者の緊急連絡先や要介護認定状況、健康診断結果、ケアプラン、お薬手帳、さらには現在の病状といった情報を、高いセキュリティ性を実現したクラウド上に集約し、笠間市や要介護者の家族、地域の介護・医療関係者が、インターネット経由でパソコンやタブレット端末などを利用して、リアルタイムに共有・閲覧することができるシステム。

 一方、日立システムズは、クラリオンが高齢者や要介護者向けに開発した服薬支援装置「服薬支援ロボ」を活用した服薬支援クラウドサービスの販売を15年10月から行っている。同サービスは、服薬支援ロボによる服薬支援機能と、服薬履歴や残薬情報を遠隔地で参照できる仕組みを提供し、誤飲防止などの服薬管理と、患者を中心とした包括ケアに関わる関係者の業務効率化を支援するクラウドサービスとなっている。

 今回、日立システムズでは、全国に先駆けて地域包括ケアに取り組んでいる笠間市で、服薬支援クラウドサービスの試験導入を行った。試験導入では、笠間市内の居宅療養患者3人に服薬支援ロボを提供し、適切な時間に必要な量だけ服薬できる環境を整えた。また、介護健診ネットワークとの連携により、笠間市のスタッフや薬剤師、患者の家族、地域の介護・医療関係者が、要介護者の服薬履歴や残薬の情報を参照できるようにした。

 この結果、自分で薬が飲めなかった患者が服薬支援ロボの支援により、自分で自発的に薬を服用できるようになった。予定時間に服薬されなかった場合も、人感センサによって患者がロボットの前を通過した際に、ロボットが再度服薬のアナウンスを行うことで、飲み忘れを防ぐことができたという。

 また、薬剤師は、これまで処方した薬の情報までしか把握できていなかったが、介護健診ネットワークを通じて要介護者が予定通り服薬したかを確認できるようになった。さらに、人感センサの反応履歴を確認することで、居宅療養では把握しにくい患者の活動量など、患者一人ひとりのより正確な状態を把握できるようになった。

 今後、日立システムズとクラリオンは、服薬支援クラウドサービスの本格展開により、患者の適正な服薬アドヒアランスの向上や地域包括ケアシステムの関係者の負荷軽減を支援していく。また、日立システムズは、服薬支援クラウドサービスと全国各地域で採用されている介護健診ネットワークなどの自治体向けシステムや多職種連携システムなどとのクラウド連携により、高齢者への質の高いケアと関係者の負担軽減を同時に実現する新たなケア活動を提案し、地域住民が安心して暮らせる社会の実現に貢献していく考え。