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AWS re:Invent 2017、データベースもサーバーレスの時代へ

2017/11/30 18:10

【ラスベガス発】アマゾン ウェブ サービス(AWS)が米ラスベガスで開催している年次イベント「AWS re:Invent 2017」において、開催3日目の29日朝(現地時間)、キーノートに米AWSのアンディ・ジャシーCEOが登壇。AWSの戦略を踏まえながら、コンピュート、データベース、AI、IoTの各分野を中心に数多くの新サービスを発表した。(畔上文昭)


数多くの新サービスを発表した米AWSのアンディ・ジャシーCEO

 ジャシーCEOは、冒頭でAWSの方針を紹介するにあたり、ローリン・ヒルのヒット曲「Everything is everything」を紹介。「すべてがあることに意味がある。クラウドも同様で、いろいろな機能を提供することに意義がある」と説明し、ユーザーニーズに応えるには、より多くのサービスが必要であることを強調した。

 数多くの新サービスが発表されていくなかで、最も盛り上がったのがデータベース関連の新サービス。まず、複数のデータセンターで利用でき、複数ノードのRead/Writeに対応したリレーショナルデータベース「Amazon Aurora Multi Master」だ。これまでのAuroraは、Writeのノードは一つだったが、Aurora Multi Masterでは複数に対応するため、より大規模なシステム要件に応える。11月29日にプレビュー版が公開された。

 もう一つの注目すべき新サービスは、「Amazon Aurora Serverless」。利用した分だけ課金されるサーバーレスのリレーショナルデータベースである。インスタンスの管理が不要で、自動でスケールする。サーバーレスサービスの「AWS Lambda」と同様、閾値などをトリガーにSQL文を実行するなど、まずはIoT分野での活用が想定される。また、クラウドネイティブなシステムにおいても、サーバーレスの特徴を生かした活用方法に期待が高まる。

 キーノートで発表された新サービス(ハード含む)は下記の通り。ジャシーCEOは、開発の背景などを交えながら、限られた時間で一気に紹介した。

○セキュリティ
Amazon GuardDuty
 継続したセキュリティ監視と脅威の検知サービス。見落としがちな傾向、パターン、異常を追跡し、何億ものイベントの解析を実施する。

○モバイル
AWS AppSync
 リアルタイムおよびオフライン機能を備えたデータ駆動型アプリケーションの構築サービス。

○コンピュート
Amazon EC2 Bare Metal
 ユーザーのアプリケーション&サービス向けのVPC(Amazon Virtual Private Cloud)エンドポイントのベアメタル型サービス。

Amazon M5 instance
 新しい世代の標準EC2インスタンス。M4インスタンスと比べて14%の性能向上。

Amazon Elastic Container Service(Amazon EKS)
 高可用性かつスケーラブルな「Kubernetes」サービス。Kubernetesのコントロールプレーンをマネージド型で提供。

AWS Fargate
 サーバーやクラスタの管理なしにコンテナを実行するサービス。

○データベース
Amazon Aurora Multi Master
 複数のデータセンターをまたぎ、Read/Write両方でスケールアウト可能なリレーショナルデータベース。

Amazon Aurora Serverless
 さまざまなワークロードのアプリケーションに対応する、オンデマンドかつオートスケールするデータベース。

Amazon DynamoDB GlobalTables
 フルマネージド、マルチマスター、マルチリージョンのデータベース。

Amazon DynamoDB backup and restore
 NoSQLデータベースに対して、オンデマンドかつ継続的なバックアップを自動的に実行するサービス。

Amazon Neptune
 フルマネージドなグラフデータベースサービス。

○Storage
Amazon S3 Select
 オブジェクト全体ではなく、特定のコンテンツをSelect可能にするサービス。

Amazon Glacier Select
 アーカイブ全体ではなく、アーカイブから特定のコンテンツをSelect可能にするサービス。

○機械学習
Amazon SageMaker
 スケール可能な機械学習モデルを簡単に、構築、学習、デプロイ可能にするサービス。

Amazon DeepLens
 開発者向けのディープラーニングに対応したビデオカメラ。AWSが販売する初のハードウェア。

Amazon Kinesis Video Stream
 ビデオストリームとタイムエンコードされたデータの解析を可能にするサービス。

Amazon Rekognition Video
 ライブビデオや保存されたビデオから、行動分析や、人の認識を可能にするサービス。

Amazon Transcribe
 自動音声認識(Automatic speech recognition/ASR)サービス。日本語は将来の対応を予定。

Amazon Translate
 自然言語に対応した機械翻訳サービス。日本語は将来の対応を予定。

Amazon Comprehend
 テキストから特徴を抽出する自然言語処理サービス。

○IoT
AWS IoT 1-Click
 デバイスごとに1クリックで「AWS Lambda Function」を作成するサービス。デバイス固有のコードなしに簡単に利用可能。

AWS IoT Device Management
 IoTデバイスを一元管理するためのサービス。

AWS IoT Device Defender
 IoTデバイス全体にセキュリティポリシーを適用するためのサービス。

AWS IoT Analytics
 IoTデータを簡単に分析できるサービス。

AWS Greengrass ML Inference
 マイクロコンピュータのためのIoTオペレーティングシステム。

Amazon FreeRTOS
 機械学習モデルをエッジで実行可能にするサービス。
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アマゾン ウェブ サービス=https://aws.amazon.com/jp/