週刊BCNは12月8日、福岡市でSIer、リセラー向けのセミナー「“半歩先”がみえるITトレンドセミナー~新たな事業展開のヒントがココに」を開催した。識者が、デジタルトランスフォーメーション(DX)をはじめとする旬の重要トレンドを解説したほか、DXに貢献できる商材をもち、全国で販路拡大を目指すITベンダーが、自社の製品戦略やパートナー戦略などをプレゼン。参加者は熱心に耳を傾けた。

 基調講演のスピーカーは、IT産業ジャーナリストで、一般社団法ITビジネス研究会代表理事の田中克己氏が務めた。「変わるIT産業、変わらぬIT企業」と題して、日本のエンタープライズIT市場の課題を大胆に指摘した。田中氏は、国産大手総合ITベンダーを引き合いに出し、「10年前と比べると売上規模もシェアも落とし、目先のSIビジネスをやるのが精一杯。彼らがDXをリードするのは難しい状況」と分析。さらに「米国だけでなく、デジタルビジネスでは中国の新興企業も世界的に存在感を高めている。日本のIT産業界を脅かす可能性もあり、AIやIoTによる産業革命はすでに起きていると認識すべき。稼ぐ力が弱くなった日本は、少子高齢化などの社会的な課題を抱え、生産性の向上は待ったなしの課題」と訴え、ユーザーや新興ベンダー、さらには中小のIT企業にこそ、国内のDXをリードし、新たな成長の担い手になるチャンスがあると主張した。
 
201712081846_1.jpg
一般社団法ITビジネス研究会代表理事の田中克己氏

 各セッションでは、市場で注目を集める製品・サービスのベンダーが自社製品のメリットやパートナー戦略を説明した。

 セッション1では、ヴィーム・ソフトウェアの吉田幸春・システムズ・エンジニアリング・マネージャーが、「仮想化時代に求められる先進のデータ保護対策とは?~今世界中で注目されるアベイラビリティによるデータ保護とは?~」をテーマに、同社製品の特徴を解説した。吉田氏は、データ保護領域の課題として、「VM内で稼働するアプリケーションの整合性の保証や粒度の細かい復元対応、さらに、共有ストレージの負荷増大、増大するデータ量、不透明な仮想環境への対応のほか、当然クラウド対応も必須になってきている」として、そうしたニーズに適合する製品として、同社の主力製品である「Veeam Availability Suite」を紹介。「エンタープライズ級の機能をSMB級のコストで実現している」としたほか、主要メーカーのストレージやHCIとの連携機能も充実していることを強調した。
 
201712081846_2.jpg
ヴィーム・ソフトウェアの吉田幸春・システムズ・エンジニアリング・マネージャー

 セッション2では、キヤノンITソリューションズの基盤・セキュリティソリューション企画センター企画部企画二課の秋武達典氏が登壇し、「効率的かつ効果的にセキュリティ対策をするには、ネットワークの可視化から!」と題して講演した。秋武氏は、企業のサイバーセキュリティ対策のなかでも、不正接続検知をピックアップして重点的に解説。企業における無線LANのセキュリティ対策の実情として、「知らない機器の接続を防ぐには社内のIT資産を明確にすることが前提になるが、購入したIT資産の管理ができていないケースが多い」と指摘。こうした課題に対する同社の回答として、低コストかつスピーディに導入できる不正接続検知・遮断ソリューション「NetSkateKobanシリーズ」を紹介した。秋武氏は、「柔軟なポリシー設定や、ネットワーク構成が一目でわかるネットワーク図の自動生成機能、多彩なレポート機能などを備え、不正接続によるセキュリティ事故の防止だけでなく、ネットワーク機器を可視化して把握、管理することも可能になる」とアピールした。
 
201712081846_3.jpg
キヤノンITソリューションズの基盤・セキュリティソリューション企画センター企画部企画二課の
秋武達典氏

 セッション3では、アーク・システムマネジメントの寺本佳弘・営業本部営業技術部長が、「NAS型データ共有とデータ保全アプラアンス及びHCI構成統合ソリューションのご紹介」と題してプレゼンした。寺本部長は、同社の主力製品ブランドであるデータ保護アプライアンス「STOREND」について、「データ共有とバックアップを統合し、専門知識のある担当者がいなくても簡単、スピーディに導入・運用ができるオールインワンのNAS」であると解説。さらに、ユーザー側が扱うデータ量の増加などによるミッドレンジクラスのNASのニーズ増に応え、「STOREND-II」「STOREND-V」を開発、市場投入するとした。さらに、ハイパーコンバージドインフラの「ASM-HCI」シリーズも用意し、STORENDシリーズとの連携ソリューションを開発・提案していく構想を明らかにした。
 
201712081846_4.jpg
アーク・システムマネジメントの寺本佳弘・営業本部営業技術部長

 セッション4では、ビーブレイクシステムズの営業部の飯田玲奈氏が、「『働き方改革』を推進するERPシステムの可能性~生産性向上と長時間労働問題に立ち向かうには~」をテーマに講演した。飯田氏は、働き方改革支援ツールとしてのERPのポテンシャルに言及し、「社内情報の一元管理による残業、リソースの把握、各種情報の連携による業務効率化の効果が期待できる」と説明した。そのうえで、プロジェクト/案件別の収支管理で強みを発揮する同社のERP製品「MA-EYES」を活用した働き方改革支援のモデルケースを紹介。「時短勤務やフレックスなど、多様な就業制度に応じて柔軟な勤怠管理を実現するほか、36協定への対応など、就労状況の分析や生産性の分析を同一システム内で行うことができる。さらに、プロジェクト、案件別の生産性をタイムリーに計測して適切にリソースを配置したり、稟議作業の電子化による効率化なども可能になる」と、MA-EYESのメリットをアピールした。
 
201712081846_5.jpg
ビーブレイクシステムズの営業部の飯田玲奈氏

 セッション5で登壇したのは、日本ヒューレット・パッカードの江川学・Nimble営業本部技術部部長だ。「一度使うとやめられない、IoTを利用した運用負荷が激減するインフラ ~HPE Nimble Storage~」をテーマに講演した。今年4月、米ニンブルストレージは米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)に買収され、HPEグループ入りした。江川氏は、「HPEのフラッシュストレージポートフォリオのなかですっぽり抜けていたミッドレンジクラスを埋めることになった」と説明。この統合により、HPEがストレージ市場で一気にトップに躍り出たとアピールした。ニンブルストレージは従来、ストレージの稼働データなどをクラウドベースでモニタリング/分析する予測分析プラットフォーム「InfoSight」をコアテクノロジーとして育ててきたが、これもHPEのポートフォリオに組み込まれた。江川氏は、「InfoSightにより、サポート対応の自動化やITインフラの可視化、製品品質の向上などを実現していて、IoT、ビッグデータを活用して顧客の評価を向上させてきた」と説明。今後、HPEのサーバーや他のストレージにもInfoSightが適用され、サポートや製品開発に生かされていく構想であることも紹介した。
 
201712081846_6.jpg
日本ヒューレット・パッカードの江川学・Nimble営業本部技術部部長

 セミナーの締めくくりとして、主催者講演では週刊BCN記者の本多和幸が、FinTechの最新事情を取材情報をもとに解説した。