SBI証券は、NECと共同で国内で初めてインサイダー取引の審査業務にAIを導入し、22年度に運用を開始する。
 

「NEC AI 不正・リスク検知サービス for 証券」の利用イメージ

 両社は、20年度から実証を行っており、判定理由を明示した上で高精度にインサイダー取引の疑い度合いのスコアリングを実現し、一次審査にかかる時間を約90%短縮できることを確認した。NECは、今回の取り組みの成果・ノウハウを生かし、AIを活用して相場操縦など不公正取引の審査業務を支援するクラウドサービス「NEC AI 不正・リスク検知サービス for 証券」に、インサイダー取引に対応した新たなメニューを加え、22年度に提供を開始する予定。

 SBI証券では、19年12月にNEC AI 不正・リスク検知サービス for 証券を導入することで相場操縦取引に対する審査の高度化を進めるなど、デジタルトランスフォーメーションによる不公正取引の監視・防止を強化してきた。今回、SBI証券とNECは、審査観点が多岐にわたるため審査対象の絞り込みが難しく、多くの審査時間を割いていたインサイダー取引にAIを活用することで、審査業務のさらなる高度化・効率化に取り組む。

 具体的には、SBI証券が保有する数年分のインサイダー取引に関する取引データや重要事実データなどを学習したAIモデルを生成し、インサイダー取引の疑い度合いをスコアリングすることで審査業務を支援する。AIには、NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」の一つであり、分析結果の根拠を可視化できる説明可能なAI「異種混合学習技術」を活用している。

 これにより、一定の基準のもと抽出した取引データから不公正取引の疑いのある取引を絞る一次審査を効率化できるため、審査担当者は二次審査などの詳細な審査や深度ある調査・分析に注力することが可能となる。また、人間では気付きにくいリスクをAIが検知・可視化することで、新たな観点から不公正取引の防止に寄与することも期待できる。