NECは2月1日、DX人材育成を支援する「NEC アカデミー for DX」を強化したと発表した。対象をDXに取り組むすべての企業に拡大し、業務で活用できる実践的なスキルを身に付けられるとしている。同社のAI・アナリティクス事業統括部の孝忠大輔・上席データサイエンティストは「3年で1万人の育成を目指す」との意気込みを示した。
 
　DXに取り組む企業や組織でデジタル変革を推進する人材育成に関する項目を追加し、経済産業省と情報処理推進機構（IPA）が2022年12月に公開した「デジタルスキル標準」に対応したプログラムとして提供する。DX人材戦略の策定から実践的なDX人材の育成、継続的なDX文化の浸透までをワンストップで支援する。これまでは、主にITベンダーなどを対象に、デジタル技術の実装や運用のための専門的なスキルを持つ人材を育成してきた。

　育成メニューは、ビジネス系として、DX推進の中心となるリーダーの育成を図る「ビジネスアーキテクト」と、製品開発のプロセスやコンセプトの策定を担う人材を育てる「デザイナー」の両プログラムを設定。テクノロジー系としては、「データサイエンティスト」「ソフトウェアエンジニア」「サイバーセキュリティ」の三つを用意した。遠隔ライブ研修やeトレーニング、ワークショップなどで知識の習得やスキルの定着を促し、専門家によるOJTによって実践経験を積んでもらう考えだ。

　孝忠・上席データサイエンティストは「提供する内容は、NECの中で実践してきた人材育成のノウハウを生かしている。実践で役立つスキルが習得できることに重きを置いている」と紹介。さらに「ITベンダーに所属する『IT人材』と、事業会社に所属する『DX推進人材』の両方の育成が必要」と話し、幅広い企業への提供を目指すとした。

　プログラム拡充の背景については、小中高校や大学などでの情報教育が進んでいることに触れ「今後、新入社員と既存社員のITリテラシーの差はさらに広がり、この格差がデジタル変革の障壁になり得る」と説明し、既存社員に対するリスキリングの重要性が高まっているとの考えを示した。
（大畑直悠）