日立製作所と茨城県日立市は12月21日、次世代未来都市（スマートシティ）の実現に向けた共創プロジェクトに関する包括連携協定を締結した。「グリーン産業都市」「デジタル医療・介護」「公共交通のスマート化」の三つの取り組みに注力する。

　グリーン産業都市の構築にあたり、産学金官連携で地域の脱炭素社会を実現する。すでに具体的な取り組みが始まっており、日立市内の中小企業のエネルギー使用量やCO2排出量の見える化を支援するシステムを2023年10月から提供している。中小企業の脱炭素経営を支援する体制づくりとして、日立市が推進する「日立市中小企業脱炭素経営促進コンソーシアム」に「地域GX推進分科会」を設置し、情報共有と施策の検討を実施するとした。


　デジタル医療・介護については、健康・医療・介護領域のデジタル化によって「住めば健康になるまち日立市」の実現を目指す。今後、日立総合病院との連携を通じて、デジタル技術を活用したオンライン診療環境の整備や健康データの集約と活用、地域包括ケアシステムの構築などに取り組む。例えば、健診データに基づく将来の疾病リスク分析などが考えられるとした。

　公共交通のスマート化に関しては、35年の「日立市の交通のあるべき姿」を設定し、日立製作所のデジタルの知見を生かした施策を段階的に実行する。AIなどのデジタル技術を用いて利用者のさまざまなニーズに応える移動のシームレス化の検討などを進める考えだ。

　日立製作所の執行役副社長の徳永俊昭・デジタルシステム＆サービス統括本部長は「日立市の活性化だけでなく、全国のモデルになる持続可能なまちづくりへの挑戦だとも考えている。OT、IT、プロダクトの三つを1社で保有している日立製作所の強みを生かし、日立市との共創を通じてSociety5.0を具現化する」と力を込めた。
（大向琴音）