米IBMのソフトウェア担当シニア・バイス・プレジデントのロブ・トーマス・チーフ・コマーシャル・オフィサーがこのほど来日し、AIによる価値創造が成果につながる領域をテーマとして、メディアラウンドテーブルを設けた。エンタープライズ・データ全体のうち、基盤モデルに反映されているのはわずか1%だとして、次のフロンティア(開拓領域)は非構造化データとリアルタイム・データの活用だと指摘した。基盤モデルはコモディティー化し、モデルのオーケストレーションが価値を左右するとした。
ロブ・トーマス・チーフ・コマーシャル・オフィサー
自社でのAI活用については、クライアントゼロとしての取り組みで合わせて45億ドル超の削減を実現したと説明。ITモダナイゼーション領域ではAI駆動開発支援パートナーの「IBM Bob」などを用いてインフラコストを30%削減し、「watsonx Orchestrate」などで人事領域の運営予算を40%削減したと紹介した。
トーマス・チーフ・コマーシャル・オフィサーは、成果をもたらすAI活用に向けては「テクノロジー上の変化という以上に、その企業のカルチャーにおける挑戦に取り組めるかどうかが重要だ」と述べた。ROIの高い部分から取り組む「小さくつくり、こまめに検証し、多くを学ぶ」というIBMのアプローチを解説した。AIによる価値創出は具体化し始めているとして、技術モデルを他形式へ変換して効率的な知識移転と新製品提供の迅速化を実現した本田技研工業などの事例も示した。
国内での展開においては、イノベーションの創出に期待できる「IBM AI Lab Japan」の開設やRapidusとの協業、量子コンピューターの導入などに触れ、日本を重要な拠点だと捉えていると強調。国内事業についても、ソフトウェアの売り上げが好調なことなどからポジティブに捉えていると評価した。その上で、今後の日本市場は人口減少による労働力不足のため、AI活用により生産性を向上させることがより重要になるとした。(下澤 悠)