日本IBMは、大規模システム開発をAIで行うための標準コンテキスト「ALSEA(アリーシア)」の活用を、一部先行プロジェクトでスタートさせた。ALSEAは仕様駆動開発と呼ばれる手法で、ユーザー固有のルールへの対応をはじめ、特定の開発者やチームに依存しない仕組みなどを提供する。2026年度下期からは広く一般の大規模システム開発にも応用していく。
高橋 聡 執行役員
同社では、システム開発用の支援AIパートナー「IBM Bob」を運用しており、ALSEAは日本IBMが培ってきた大規模システム開発のノウハウや標準的なプロセス、成果物テンプレートなどを、IBM Bobが理解・活用できるコンテキストとして体系化した。小規模な開発プロジェクトは個々の技術者の能力に依るところが大きいが、「大規模になればなるほど個人の力量ではなんともならず、組織全体で品質を確保する仕組みが重要になる」と、高橋聡・執行役員コンサルティング事業本部インダストリーサービス&デリバリー統括はALSEAの開発背景を話す。
AIでソースコードを生成する際、参照先情報の指定やセッションをまたいだ情報の保持、AIの自律性を制御するためのプロンプトなどのコンテキストを明示しないと、生成されるソースコードにバラツキが出てしまう。大規模なシステム開発や、金融・製薬といった規制業種のシステム開発では、品質のバラツキや仕様にそぐわない開発は通用しないため、ALSEAとIBM Bobの組み合わせによって標準化されたコンテキストに基づく開発手法を確立させる。
国内ではSIer主導で大規模システム開発を行うケースが多い市場特性があるため、ALSEAはそうしたノウハウを多く持つ日本IBM主導で開発した。同社では大規模システム開発においてもAI主体での開発を推進し、人は設計・監督に集中する開発体制へ移行させることで、27年度には35%の工数削減、30%の納期短縮を目指す。
(安藤章司)