NECは5月12日、2030年度までの5年間の中期経営計画を発表した。Non-GAAP営業利益を25年度の3972億円から2倍に伸ばす計画だ。実現には価値創造モデル「BluStellar」を中心にAIとセキュリティーを軸に据える方針。森田隆之社長兼CEOは「AI産業革命が起きる中、企業の優勝劣敗が鮮明になるだろう。ここでNECが勝つ企業になるために、求められる価値の変化を捉える」と話した。
(大畑直悠)
AI時代の勝ち筋として、▽業種・業界別の「ドメインナレッジ」の活用▽AIガバナンスやデータ整備などを兼ね備えた「システムアーキテクチャー」▽最先端のAI基盤やAIネイティブなプロセスと文化、パートナーシップによる「ファウンデーション」―をグループで一体的に提供する体制を構築し、AIによる変革の価値を顧客に明示できる存在を目指す。今後はITベンダーに対してAIの実装力に関する顧客からの見定めが始まるとした上で、森田社長は「セキュリティーやAIエージェントの構築・運用を担う基盤でどうベネフィットを出せるかを見られている。当社はスターティングポイントには立った。ここから勝者になる」と意気込んだ。
ITサービス事業では、これまでのIT業界で分断されてきたコンサルティング、システム構築、オペレーションをシームレスに提供することに注力する。森田社長兼CEOは「全工程を知る強みを生かし、全体として顧客価値を創出するかたちに変わっていくことが必要だ」と強調した。
コンサルティングではアビームコンサルティングとの連携も強化する。オペレーション領域ではBPO事業の強化に取り組み、AIを活用する仕組みを自社で構築し、収益性を高める考え。システム構築では「NEC自身がAIネイティブ企業になる」(森田社長兼CEO)ことを目指し、自動化・効率化に取り組む。
森田隆之 社長兼CEO
セキュリティーも注力領域に掲げる。森田社長兼CEOは「経済安全保障の自立性のために必須のデジタルインフラの安全性や信頼性の担保、高度化するサイバー攻撃への対処で、社会インフラを守るセキュリティーは大きな事業機会になる」とした。特にAIに対するセキュリティーでは、米Cisco Systems(シスコシステムズ)との連携を強める。
成長領域と位置付けるBluStellarでは、顧客に価値を届けるまでの一連のオファリングを型化した「BluStellar Scenario」の全てにAIを組み込むことで、さらなる付加価値の向上を目指す。森田社長兼CEOは「収益性を改善するにはシナリオベースのソリューション提供の成功が試金石になる」と説明した。売上収益は25年度の7050億円から30年度には1兆3000億円に拡大し、Non-GAAP営業利益率では8.9%から10%台後半まで改善させる。