IEEE東京支部は5月18日、都内で鉄道座席予約システム「MARS-1」に関する「IEEEマイルストーン」贈呈式を開催した。記念講演会では、MARS-1の開発経緯や、今後の開発方針や将来展望について言及した。
IEEEマイルストーンは、電気・電子の分野で達成された画期的なイノベーションの中で、開発から少なくとも25年以上経過し、社会や産業の発展に多大な貢献をした歴史的偉業を認定する制度。旧日本国有鉄道(国鉄)が1960年に導入した世界初の鉄道座席予約システムとして、MARS-1が2025年8月に選定された。
MARS-1は、国鉄の鉄道技術研究所(現:鉄道総合技術研究所)と日立製作所が開発した。元々、鉄道技術研究所の穂坂衛博士が発案した「MARS」を基に、その試作機として日立製作所が回路設計・製作し、59年に完成。国鉄の分割民営化に伴い、MARSの運営は鉄道情報システムに引き継がれた。
その後も改良を重ねながら現在に至るまで60年以上運営が続いている。20年からは、インターネット販売やチケットレス化に対応するための機能を備えた「MARS505」が運用中だ。
現在開発中のプロジェクトとしては、高度安定稼働を堅持しつつ、JR各社の動向とニーズや社会動向を踏まえながら、手配業務や販売業務、後方業務の各種機能の改善を進めている。例えば、メインフレームとサーバーでシステムを構成しているが、サーバーのみに集約するシステムリプレースを段階的に進めているという。
将来的には、MARSの24時間運転や、指定席発売開始日の早期化、AIを活用したJR券の販売、ロボットやAIを活用した開発作業の効率化と工期の短縮、コストの低減などを推進したい考えを示した。
鉄道情報システム 金子正美上席執行役員
また、今後チケットレスは交通系ICや二次元コード、顔認証などさまざまな媒体へ広がり、その仕組みはJR各社ごとに異なると想定する。鉄道情報システムの上席執行役員を務める金子正美・旅客システム部長は「利用者はJR各社(の路線)をまたがって利用することになる。MARSが各社の自動改札機と連携し、シームレスな利用を支える」と将来を展望した。(大向琴音)