この企画では、「IT企業トップの『決意』と『実行計画』」と題して、71社のトップに年頭の抱負を聞いた。昨年後半から急激に悪化した経済情勢を受け、例外なくといっていいほど、経営者の言葉には危機感がにじみ出ている。だが、けっして悲観しているのではない。「ITの活用はコスト削減に即効性があり、生産性の向上に結びつく。すなわち、ユーザーニーズに応えるツールだから、この不況はむしろチャンスと捉える」と、確固たる自信を表明する年頭所感が多かった。

　キーワードとして目立ったのが「基盤づくり」「人材育成」「原点回帰」といった内部固めに力を入れるとする言葉だ。春の来ない冬はない。景気が回復した折にトップギアで飛び出すために、企業としての基礎体力を高めておこうとする動きが顕著になっている。「変革」や「革新」を掲げた経営者も同じ思いだろう。今次不況をステップアップの足がかりにしようという意欲的な言葉も多く見られる。「挑戦」「ブレイクスルー」「待ちから攻めへ」「ITでオフィスを元気にする！」などなど──。ともすれば暗くなりがちな情勢下、こうした“元気な”言葉に勇気づけられる。

　恒例の年頭所感は、一部を除き、記者が直接トップに取材してまとめている。ここで得た経営者の信念、会社としての戦略などを咀嚼し、今後の企画に生かしたいと思う。　ご協力いただいた企業トップの皆さまには、この場を借りて心より御礼申し上げます。（週刊BCN編集長 谷畑良胤）