視点

クラウド前提で運用管理を見直そう

2013/06/20 16:41

週刊BCN 2013年06月17日vol.1485掲載

 ファミリーレストランの掃除は、モップでやるのが一番いい。高収益率を保ち続けるサイゼリアが数年前に出した結論だ。ファミレスの掃除には掃除機が使われるのが一般的だが、掃除機は吸い口が小さく、何度も同じ箇所を吸い上げる。それが、同社で使う幅120センチのモップを使えば、ひと拭きで済む。掃除機に比べて生産性は2倍に高まった。

 不景気下に奮闘する同社の姿が多くのお客に好感を与えた。客単価が500円未満で、アルバイト店員の時給を1200円(都心)に保つ同社が収益率を上げるには、少ない人員で店を運営していくことが求められる。

 企業の情報システム担当やITを提供する側も、サイゼリアと同様に、既存システムの改善が急速に進んでいる。それを助けているのが仮想化技術やクラウドコンピューティングだ。IT投資の大半が“守り”だけに使われる状況を打破し、「競争力の源泉」になる戦略的IT投資へ向かう方法を模索する企業が目立つ。

 ITメーカーのユーザー会に参加してみると、多くの企業で運用SE(システムエンジニア)を開発SEに転換すべく、情報システム全体の見直しを図っている例が目立つ。「アベノミクス効果」で景況感が上向くなかにあって、資金力のあるうちに将来に備えて、IT投資を抑制していた運用保守から手をつけ始めている動きなのだ。

 企業内の運用管理を担当するSEの悩みは、スキル不足やシステム管理の煩雑さだ。そのなかで出てきた答えが、汎用システムはクラウドで外出しして、企業内システムは仮想環境で一元化して効率化を図り、運用SEを他の開発業務に回すことだ。企業のクラウド利用は、アプリケーションレベルではまだだが、運用面では大前提になりつつある。

 運用管理面を見直す際、ユーザー企業に相談を受けて改善を支援する側が見落としがちなのが、資産(アセット)の棚卸し作業と、将来を見越して少人数で企業内とクラウドを一括して管理できる体制の構築だ。また、情報システムのフローを新しくするだけにとどまり、実際にITを業務で使う社員の利用環境を含めた提案が行われていない。

 サイゼリアの革新は、モップに限らない。皿洗いの自動化や包丁を使わない調理、LED照明を使った省力・省エネなど、「この方法でなければ」という常識を否定して日々改善を続けている。情報システムも同じだ。ITの使い方の変化に応じて、柔軟に変更できる仕組みを検討しなければならない。
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