視点
電子書籍の未来は本当に明るいのか
2014/07/03 16:41
週刊BCN 2014年06月30日vol.1536掲載
出版社の関係者の間でたびたび話題になるのが、電子書籍ユーザーの実態についてだ。街なかや電車内で電子書籍を読むユーザーの姿が多くなっているのか、少なくなっているのか。皆さんはどう思いますか? 出版社の関係者はシンクタンクが伝えるところのデータではなく、肌で感じる市場を見極めようとしているのだが、それがどうも思うほどには増えていないという見方が主流のようだ。
読書端末の販売については、アマゾンも楽天も実績を公表しておらず、それこそ感覚でしか市場の様子を掴むことができない。電子書籍の購入時間帯は深夜の11時から零時の間がピークであるという。「夜、自宅で読んでいるから、昼間はそのユーザーを見つけることは難しいのでしょう」。そんなことを言う出版社の人もいる。
コミックやアダルトにけん引されている現実から察するに、そういうことなのか……。では、「実用書や文芸書の読者はどこにいるのか」。
いま儲かっていない事業をこのままのスピード感で続けるのか、それとも緩めていくのかを判断するために、出版社は先を読もうとしている。電子書籍の市場は将来的に大きくなるといわれているし、それを否定する根拠もない。現時点では、紙の本の発行と同時に電子版を発売するか、電子版の値引きキャンペーンをどの時点で始めるのか、紙の本と合わせて売り上げの最大化を目指す施策は何なのか。多くの出版社はいまも迷走している。紙と電子版の同時発売の場合には、編集の作業工程を抜本的に見直す必要もあって、組織として対応せざるを得ないので、判断を誤ることは許されない。
ここにきて、電子ストアの廃業が散見されるようになってきた。電子書籍の未来に投資するかのように、大手企業が参入してきたが、累積赤字が増幅するなかでビジネスとして成立しないと見限られたようにみえる。そもそも電子ストアが何店あるのか、明確な資料はないが、主要なもので20、その他を入れて100程度といったところだろうか。リアル書店と同様に、電子書籍においても外資系の勢力に押され気味であることは誰もが認めるところだ。
コミックやアダルト以外の出版社では、いま、図書館や医療、一般企業に対してビジネスモデルを構築中だ。BtoBにその活路を見出そうとしている。
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