視点
出版社とアマゾンの攻防戦が拡大中
2014/09/11 16:41
週刊BCN 2014年09月08日vol.1545掲載
今、日本の出版社の間で話題になっているのは、もっぱらアマゾン・ドット・コムのことである。出版社にとっては、アマゾンの売り上げやその販売占有率が高まり、返品率も低いことから「大のお得意先」である。
本は取次と呼ばれる流通会社を通じて流通するが、アマゾンは出版社との直接取引も進めている。その取引条件は公にされることはないが、水面下ではその交渉に追われている出版社も多く、たびたび話題になる。それは電子書籍の取り扱いについても同様で、お互いの“取り分”についての攻防戦がある。
アマゾン ジャパンは、今年6月の電子版コミックスの販売数が紙版のそれを上回ったと発表した。紙版におけるアマゾンの販売力はいうまでもないが、それを電子版が上回ったのは、日本の出版流通においてエポックである。有料版と無料版の内訳については非公表で、その経済的な市場の実態には不透明さも残るが、コミックスの電子市場でもシェアナンバーワンであることを誇示した。これが今後、出版社との条件交渉にどう影響していくのか。昨年には1000億円を突破した電子書籍の市場を拡大するうえで、アマゾンの存在を無視することはできない。
一方、出版社の団体、日本出版者協議会(出版協)の加盟5社はアマゾンの行き過ぎたポイントサービスによる値引き販売を再販契約違反として、自社商品をアマゾンの取扱銘柄から除外した。さらに出版協はアマゾン ジャパンに本を卸す取次会社の日本出版販売(日販)に対してもポイントサービスの除外指導を求めたが、同社がそれを受け入れなかったため、日販に対して違約金の請求を決めた。
米国に目を向けてみても、大手出版社、米アシェット・ブック・グループは米アマゾンと電子書籍の販売マージンを巡る攻防戦を依然続けている。アシェット・ブック・グループの電子書籍の売り上げは2014年第1四半期で総売上高の34%。そのなかでアマゾンが占める割合は60%であるという。
米アマゾンは7月から60万点以上の電子書籍と2000点以上のオーディオブックスを月額9.99ドルで読み放題とするサービス「Kindle Unlimited」を開始した。これには米国の大手出版社などが商品供給を控えるという手段に出ている。国内外を問わず、出版社とアマゾンの闘いが表面化している。
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