文科省と総務省の実証事業　教育情報化のモデルづくり

　総務省が2010年度から2013年度まで実施した「フューチャースクール推進事業」、文部科学省が2011年度から2013年度まで行った「学びのイノベーション事業」は、教育環境の情報化を本格的に進めるための基礎的な知見を構築する事業として、一定の成果を挙げた。特徴的だったのは、共通の実証校で、両事業を文科省と総務省が連携して進めたことだ。

　今年度は、その後継事業がスタートし、クラウドを活用した新しい教育環境IT化の実証研究が始まった。総務省は「先導的教育システム実証事業」、文科省が「先導的な教育体制構築事業」を展開しているが、両事業は対になっている。総務省が、クラウドプラットフォームの開発・標準化など、テクニカルな検討を行うのに対して、文科省は、クラウドを活用した授業・学習モデルや指導方法などを検討する。3地域12校の実証校は、もちろん共通だ。

　両事業を担当する文部科学省生涯学習政策局情報教育課の豊嶋基暢課長はもともと総務省所属、一方、総務省情報通信利用促進課の岸本哲哉課長も本来は文科省所属。こうした交流人事にも、教育環境情報化に対する国の本気度が現れている。

　2年目となる来年度に向けた予算要求では、両省ともかなり意欲的な要求をしたという印象だが、とくに総務省の「先導的教育システム実証事業」は、今年度予算比2倍の11億円を要求している。「学習・教育クラウドプラットフォームを地域活性化やまちおこしにもつなげていきたい」（岸本課長）としており、これに沿って事業の拡大を目指す。（本多和幸）