語る人
豊嶋基暢 氏
文部科学省 生涯学習政策局
情報教育課課長
1991年、郵政省入省。電気通信局事業政策課、総務副大臣秘書官、慶應義塾大学メディアコミュニケーション研究所准教授、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課推進官などを経て、2013年8月から文部科学省生涯学習政策局情報教育課課長
総務省と連携し、教育情報化を強力に推進
公教育の現場で役立つ情報化の促進を担当する情報教育課は、近年、とくにICTを活用して子ども達が主体的に物事を考える能力を育てる施策に力を入れている。電子黒板やタブレット端末などを活用して、科目ごとの知識や理解を深めるのに役立てるのはもちろんのこと、ICTを使って情報を的確に収集、整理、加工、発信する能力の育成にも注力している。さらに、情報活用を発展させるような能力そのものを育てたいと考えている。
総務省の「フューチャースクール推進事業」と連携して、2011年度から2013年度までの3年間(フューチャースクール推進事業は2010年度からの4年間)、全国計20校の小中学校、特別支援学校で、ICTを活用した教育コンテンツや指導方法の開発・実証などを行った。「学びのイノベーション事業」は、その代表的な取り組みといえる。教育の情報化を具体的にどう進めればいいのかが、かなりイメージできる成果を挙げることができたと思う。
新事業はクラウドを活用し、学校内外をつなげる実証研究
今年度は、学びのイノベーション事業のフェーズ2とでもいうべき事業「先導的な教育体制構築事業」を、引き続き総務省と連携して進めている。学びのイノベーション事業は、学校の教室のなかにICTを導入して情報化し、授業を変革するための実証研究だった。新事業はさらに大きく踏み出し、クラウドを活用して、学校の教室内だけでなく、学校外ともつなげる。それによって、教育にどのような変化がもたらされるのか、どう変えるのが効果的なのか、そして先生もどう変わればいいのかということを実証研究する。クラウドによって、時間や場所にとらわれずに学ぶ環境をつくることができるし、学校と家庭の連携、地域の学校同士の連携によって、学校の授業をより効果的に変えることができるかもしれない。だから、新事業では現在、実証「校」ではなくて、実証「地域」を公募している。最終的な実証フィールドは、3地域12校程度になる予定だ。
また、情報化環境を整備しても、教材がないと学習できないので、OSの種類に依存しないデジタル教材の標準仕様策定にも昨年度着手していて、来年度には完成させたい。(談)(本多和幸)
組織の概要
授業、校務を含め、教育現場の情報化を総合的に推進する。近年、「学びのイノベーション事業」に代表されるように、ICTを活用して、児童・生徒が主体的に考える授業のスキーム構築にとくに力を入れている。