日本ヒューレット・パッカード(HPE)では、ITインフラを“as a Service”で提供する「GreenLake」において、パートナー経由での販売が伸長するなど、パートナービジネスが好調に推移している。サーバーやストレージ、ネットワーク、ハイリッドクラウド基盤など、広範なITインフラ製品を取りそろえる強みを生かし、パートナーとの協業を加速させ、拡大するAI需要に対応することでさらなる成長を目指す。(岩田晃久)
パートナー経由で「GreenLake」の導入加速
近年同社は、GreenLakeの提供に力を入れてきた。GreenLakeの提供開始当初は直販がメインだったが、現在は新規ユーザーの大半をパートナー経由で獲得しているという。常務執行役員の田中泰光・パートナー営業統括本部長は、大手ディストリビューターなどがGreenLakeの専門部隊をつくり、販売しやすい体制を整えたことを成長要因として挙げ「当社だけではここまで拡大できなかった」と述べる。
クラウドサービスの利用の拡大といったユーザー側の変化も、GreenLakeビジネスの拡大に影響している。クラウドサービスを導入すれば、その後サービスがアップデートされた際には常に最新の状態で利用できる。この状態をオンプレミスで実現できるのがGreenLakeであり、「ユーザーに受け入れられている」(田中常務)。加えて、サブスクリプションのニーズの高まりを受け、パートナー側は営業担当者の評価制度においてサブスクリプションの売り上げを重視する流れが加速しているのも、GreenLakeの拡販に寄与しているとする。
ネットワーク事業に注力
同社はサーバー、ストレージ、ネットワーク、ハイブリッドクラウド基盤など、幅広いITインフラ製品をそろえており、製品を単体ではなく組み合わせて提供することで、高い価値を生み出している。さらに、セキュリティーベンダーやデータセンター事業者などのパートナーの製品やサービスと連携させたソリューション展開にも注力している。
2026年度はネットワーク事業を注力事業の一つに位置付けている。25年に米Juniper Networks(ジュニパーネットワークス)を統合し、HPEのネットワーク事業は大きく拡大した。現在は、HPEのネットワーク事業ブランドとして展開してきた「Aruba」と、ジュニパーネットワークスの「Juniper」の二つを提供できる体制を整える。それぞれの製品に対応したネットワーク管理プラットフォームの「Aruba Central」と「Juniper Mist」は、機能の相互移植を進めており、今後は両管理プラットフォームに対応したハードウェアのリリースを予定している。共通化が進むことで、パートナーにとってはより販売しやすい環境が整うという。
田中泰光・常務
AIの活用が大きく加速する中で、AI用のサーバーや、データを適切に保存できるストレージ、将来を見据えたネットワーク設計など、インフラ製品をそろえているのは大きな強みとなる。田中常務は「例えば、フィジカルAIは日本が得意とする領域だと思う。そこで得たデータをプライベートクラウドに保存してAIをつくったり、改善したりするようになるので、そこを支援していきたい」と展望する。
パートナーのビジネスモデル転換を支援
IT業界全体でエンジニアが不足する中で、サーバーやネットワークの運用を自動化する「GreenLake Intelligence」などを用意する。運用が自動化されることでコストの削減などにつながる一方、従来のインテグレーション業務が減るため、パートナーにはビジネスモデルの転換が求められる。田中常務は「アプリケーション寄りなのか、コンサルティング寄りなのか、パートナー各社それぞれに違いがある。当社はロードマップを示してきちんと会話をすることでパートナーを支援し、(パートナーがユーザーに対して)価値を出せるようにしていく」と述べる。
田中常務は「ユーザーの使うワークロードやアプリケーションが変わってきたり、付け足されていったりするので、パートナーは、インフラをどのように増強していくのかといった提案を伴走型でやっていく必要がある。そうした中では、インフラにおいてもマネージドサービスが大事になる」と見解を示す。GreenLakeなどを活用した、パートナーによるマネージドサービスの提供も後押しする姿勢だ。
今後について田中常務は「当社はインフラに“全振り”しており、アプリケーションは持っていないので、パートナーと力を合わせて、ユーザーが求める進化を遂げていきたい。日本のパートナーには優れたノウハウを持つスペシャリストがいるので、他国を超えられる可能性もあると思う。一緒にそこを目指したい」と力を込める。
生成AI需要の急増でデータセンター向けの製品供給が優先されていることに加え、それを見越した投機的な動きによってメモリー不足が続いている。同社のビジネスにも影響が出ているが、パートナーとの対話を重ね困難な状況に真摯に向き合っていくとする。