北斗七星

北斗七星 2009年11月30日付 Vol.1311

2009/12/03 15:38

週刊BCN 2009年11月30日vol.1311掲載

▼中国や欧米を取材した際、「日本のIT業界に期待することは何か」を必ず聞いて回る。自動車業界をはじめ日本の製造業は、中国など新興国へのシフトを強めている。国内産業のうち第一次産業を除くと、IT業界だけが海外“輸出”への市場を閉ざしたままだ。内需拡大への期待は薄い。こうしたなかで、海外進出は必須といえる。

▼冒頭の質問に現地の人々は、期待する内容の一つとして「環境貢献」を挙げる。鳩山首相が国連で「CO2削減率25%」を掲げ、太陽電池や環境配慮型の製品技術で世界をリードしているためだ。これら製品に盛り込まれている日本のIT技術を活用するためなら、日本からITを“輸入”するという。

▼11月24日付の全国紙で、日立製作所が英高速鉄道から総事業費1兆円の案件を受注した件が報道された。環境負荷の低い鉄道や航空機などに置き換える「モーダルシフト」が進んでいるようで、日本の技術力は引く手あまた。業務パッケージなどのIT製品での海外進出は困難がつきまとうが、ソリューションならば話は別だ。

▼富士通によれば、ハードウェアそのものを省電力化する「of IT」に比べ、省電力機器やソフト、サービスを合わせたソリューションの「by IT」は、CO2削減効果などが10倍高まるそうだ。いわゆる「グリーンIT」を指すが、この分野は企業システムに深く浸透してきた。国内IT市場は19兆円といわれる。日本の「グリーンIT」をもってすれば、外貨をさらに稼げる。
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