クラウドコンピューティングの普及が顕著になり、企業システムの「所有から利用へ」の流れが明らかになってきました。それと並行するように、新たなITプレーヤーとして巨大なデータセンター(DC)を所有する「ホスティング・ベンダー」が頭角を現しています。
これまでは大手ITメーカーや大手システムインテグレータ(SIer)がDCビジネスを主導してきましたが、ホスティング・ベンダーは、ITビジネスを生業にする方々にとって無視できない存在になっているのです。
実は、こうしたベンダーがクラウドだけを商売にしているかというと、そうではありません。既存のクライアント/サーバー型のシステムをDC内に移行し、面倒な運用・保守やセキュアな環境の確保などの面を任せ、システム増強に際しては、DC内で提供するクラウド・サービスをつなげたりしています。つまり、プライベートクラウドがDCのなかで完結しているのです。
とくに、DCを所有していなかったり、DCを建設する資金的余裕のないITベンダーにとって、ホスティング・ベンダーのDCは、顧客の要求に応えるうえで使い勝手のいい施設なのです。資産を保持せず、使いたいときに使いたいぶんだけ借りられる。大手ITベンダーだけが手にしていたDCビジネスを場所を借りながらできるのです。
大手、中堅・中小のITベンダーの境目が、これによって徐々になくなっていきます。(谷畑良胤)
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注目のDC活用型サービス 売り方がみえてきた コンテンツやアプリがカギメールマガジン「Daily BCN Bizline 2011.3.7」より