中国に出張中の記者が、上海のスマートフォン販売店の店頭広告をFacebookにアップしました。広告に載っているスマートフォンは、サムスンが7機種、アップルのiPhoneが2機種、HTCが1機種、華為が1機種、レノボが1機種。日本メーカーとして中国でスマートフォンを展開するソニーが一つも載っていないことに、少々驚きました。世界のほとんどの国と同じように、中国でもサムスンとアップルは圧倒的な人気を集めているようです。
タッチ画面などを搭載し、凝った技術を盛り込んだスマートフォンは、開発費用が高く、メーカーはグローバル規模でのボリューム販売に成功しなければ収益が出ないという厳しい現実に直面しています。なかでも国内を中心に展開している日本のスマートフォンメーカーは、市場の規模が限られているだけではなく、通信キャリアから厳しい要求を突きつけられ、収益を出すのはほぼ不可能という状況にあります。
スマートフォンビジネスの赤字決算が続いたNECは、事業から撤退。パナソニックも、個人向けスマートフォンの開発停止が報道されています。スマートフォンは需要が高く、クラウドにアクセスする端末としても欠かせないツールですが、収益が出なければ手がけるべきではないという経営判断は当然あり得るでしょう。
NECは、スマートフォン事業の人員を、注力する社会ソリューション事業に再配置することを決めています。彼らの技術ノウハウを生かして、ハードウェアの製造・販売からソリューション提供への転換を本格化します。
一方で、日本には、海外でもスマートフォンを展開し、魅力的な製品を投入すればボリュームを獲得できるはずのソニーがいます。冒頭に述べたように、中国での状況は厳しいようですが、日本のスマートフォンメーカーとして、ぜひ奮闘してほしいものです。(ゼンフ ミシャ)
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NECがスマートフォン事業から撤退 「社会ソリューション事業」に社員を再配置 “スマートフォン人材”がNECのDNAを刺激するメールマガジン「Daily BCN Bizline 2013.9.4」より