IT企業で働いている開発者や営業担当者に、労働環境について聞くと、多くの人が「うちはかなりブラックかも」と苦笑しながら答えます。納期に迫られ、徹夜続きで懸命にプロジェクトを推進する現場――。給与が決して高くはないことも重なって、過酷な労働に耐えられず、会社を辞めてしまう、あるいはうつ病になって退職せざるを得ないといったケースが増え、業績に影響を与えるまでになっています。
社員の精神的な健康を維持する「メンタルヘルス」の先進地域、欧州では、会社がケアを怠って社員がうつ病になって仕事ができなくなった場合、罰金などのかたちで経営者の責任を問う国が増えているそうです。日本でも、メンタルヘルスに対する意識は高まっています。この6月、「労働安全衛生法の一部を改正する法案」が可決成立し、これによって、健康診断と同じように社員のストレスチェックが義務化されます。
これは、IT企業にとって、二重のチャンスといえそうです。クラウドやデータ解析技術を活用し、簡単に精神状態を見える化するサービスを開発して、ユーザー企業に売り込む。そして、自社にもこれらのサービスを採用し、社員の罹患確率を測り、早めに対策を講じて発病を未然に防ぐ――。システムの精度などに関してまだまだ課題も多いですが、ITでうつ病を防ぎ、IT業界の「ホワイト化」につながる時代はきっとやってくるでしょう。(ゼンフ ミシャ)
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富士通マーケティングなど3社、メンタルヘルスソリューションの提供を開始メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.7.25」より