今日のひとことWeb版

「エコシステム」と「トータルソリューション」

2015/04/23 15:26

 インターネットのビジネスで、よく「エコシステム」という単語を耳にします。ネットやクラウド時代になる前は、「メーカーと販売店」のような垂直的な関係を指すことが多かったのですが、今では「Amazon(密林)に生息する各種の動植物」といった水平的なイメージが強まっている印象を受けます。

 現にAmazon(AWS)は、このあたりの水平的な“生態系”づくりがとても上手く、自らデータセンターやクラウドサービスを手がけているSIerですら、AWSを取り扱っていない会社を探すのが難しいほど。

 SIerといえば、ITシステムのライフサイクル全部を請け負う“トータルソリューション”を売りにしています。これはこれで今後も強みになるのですが、ことネットやクラウドのビジネス領域では、エコシステムに加わざるを得ないようです。

 一番いいのは、自らエコシスムを創りだすことなのですが、そうなるとますます従来の“トータルソリューション”の看板と矛盾する部分が大きくなってしまい悩ましいところです。

 ただ、エコシステムから切り離されたSIerは、ネットやクラウドの比重が高まるほど孤立感が強まり、この領域でのビジネスも先細りになる危険性が高まります。「エコシステム」と「トータルソリューション」を、どう切り分け、使い分けるかのバランス調整が求められているのかも知れません。(安藤章司)

【記事はこちら】
ニッポンのクラウドを支えるCIerとAWSのエコシステム ユーザー企業のCIer選びをサポート
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.4.23」より
  • 1

関連記事

日本IBM Watsonでソフトバンクとタッグ 日本市場でのエコシステムの構築に本腰

<特別寄稿>SAP 「China SAPPHIRE」で幹部が語った 中国市場深耕のエコシステム戦略 ――中国IT業界専門メディア大手 SP/計算機産品与流通 余 文

<インタビュー>米セールスフォース・ドットコム アンドレス・セラボス米州統括バイスプレジデント 拡大するAppExchangeのエコシステム

クラウドビジネス 「夢」か「現実」か!? 「地方発、世界へ」を自らの手に

アマゾン データ サービス ジャパン 代表取締役社長 長崎忠雄