インターネットのビジネスで、よく「エコシステム」という単語を耳にします。ネットやクラウド時代になる前は、「メーカーと販売店」のような垂直的な関係を指すことが多かったのですが、今では「Amazon(密林)に生息する各種の動植物」といった水平的なイメージが強まっている印象を受けます。
現にAmazon(AWS)は、このあたりの水平的な“生態系”づくりがとても上手く、自らデータセンターやクラウドサービスを手がけているSIerですら、AWSを取り扱っていない会社を探すのが難しいほど。
SIerといえば、ITシステムのライフサイクル全部を請け負う“トータルソリューション”を売りにしています。これはこれで今後も強みになるのですが、ことネットやクラウドのビジネス領域では、エコシステムに加わざるを得ないようです。
一番いいのは、自らエコシスムを創りだすことなのですが、そうなるとますます従来の“トータルソリューション”の看板と矛盾する部分が大きくなってしまい悩ましいところです。
ただ、エコシステムから切り離されたSIerは、ネットやクラウドの比重が高まるほど孤立感が強まり、この領域でのビジネスも先細りになる危険性が高まります。「エコシステム」と「トータルソリューション」を、どう切り分け、使い分けるかのバランス調整が求められているのかも知れません。(安藤章司)
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ニッポンのクラウドを支えるCIerとAWSのエコシステム ユーザー企業のCIer選びをサポート メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.4.23」より