どのクラウドサービスベンダーも、「他社システムから自社クラウドへのシステムのインポート(取り込み)」には熱心ですが、顧客の流出につながりかねない「自社から他社のクラウドへのエクスポート(出力)」には、なかなか力が入らないのが現実です。

 こうしたことが、一旦、特定クラウド上でシステムを構築してしまうと、容易には抜けられなくなってしまう「ベンダーロックイン」ならぬ「クラウドロックイン」なる現象が起こる背景にあります。

 SIerのTISと、データセンター仮想化(VDC)技術の研究を手がけるあくしゅは、共同で「クラウドロックイン」を打破する研究を進めると発表しました。ざっくり言えば、複数の異なるクラウドサービス上に、OpenStackなどのオープンな基盤を採用した“仮想データセンタ(VDC)”を置き、この上にアプリケーションを構築するというコンセプトだそうです。

 小規模な仮想サーバー程度なら、今でもクラウド間を移動させることは可能です。しかし、ストレージやネットワークなどを含めた大規模なシステム全体を、複数の異なるベンダーのクラウドサービス間で、自由に行き来できる状態にシステムを構築する「マルチベンダー」サービスを実現するには、越えなければならない技術的なハードルが少なからずあるとのこと。

 しかし、このハードルを越えてこそ、「クラウドロックイン」からユーザーを解き放ち、クラウド時代に即したSIerならではのユニークな「マルチベンダー」サービスを提供できると両社では考えているようです。(安藤章司)

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TISとあくしゅ、異なるクラウド間の差異を吸収、「クラウドロックイン」の打破を目指す
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.6.4」より