先日、AI(人工知能)技術を用いてメールの内容を解析することにより、内部犯行による情報漏えいを未然に防ごうとするソリューションの提供が始まりました。この製品に技術を提供したUBICは、人の思考や行動を解析し、将来の行動を予測する「行動情報科学」を強みとしています。話を聞いてみると、同社がAI分野に進出したきっかけがおもしろいものでした。

 AIの技術開発を主なビジネスにしている企業かと思いきや、同社のもともとの本業はコンピュータフォレンジック。訴訟や事故調査の際、証拠となる電子データをコンピュータ上から収集し、分析する仕事です。現代の訴訟では、重要証拠の多くが電子データのため、膨大なメールやログを見直す必要があります。1件1件のデータが証拠となり得るかは、法律の専門家でなければ判断できないので、電子データの評価のために数か月から年単位で弁護士を雇う必要があり、訴訟費用の高騰を招いていたそうです。

 専門家に渡す前に、証拠となり得るデータをあらかじめ絞り込むことができれば、フォレンジックにかかる費用と時間を削減し、限られた時間のなかで、より強力な証拠を発見できる。このような目的でAI技術を導入、発展させ、現在では医療データ解析や公共分野でのリスク分析といった領域にも、事業を拡大しています。

 ITの製品やサービスは「先に技術があり、それをどう使うか」という、ややもすれば目的と手段が逆転したような恰好から生まれることも多いですが、同社の場合、「目の前の膨大なデータを何とかしなければいけない」という切実なニーズが、新たなビジネスにつながった形です。目的ありきの手段は、やはり強いように感じます。(日高彰)

【記事はこちら】
デジタルアーツとUBIC 内部犯による情報漏えいをメール解析で未然に防止
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.9.18」より