月額課金制のクラウド商材は、従来のハードウェア機器の販売に比べて、どうしても売り上げの側面で見劣りしてしまいます。現場の営業マンにとってみれば、今月の予算達成に向けて機器販売に力が入ってしまうのは、致し方ないのかもしれません。
しかし、これでは「所有から利用へ」の流れに逆らうことになってしまいます。伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)では、「ハードウェアの低価格化が進むなか、むしろクラウド商材の方が中期的にみて“粗利”がいい」とみています。
そこでCTCでは、これまでハードルが高いといわれる基幹業務システムのクラウドサービスの販売を本格化させることを決めました。
別のSIer幹部は、「例えばサーバー1台売った粗利が5000円だとする。そのサーバーの耐用年数が5年だとして、もし同様のサーバーの“機能”をクラウド課金方式で売るとすれば、粗利を年額1000円に設定することで同じだけの粗利を稼げる」と話しています。
前述のCTCでは、顧客ニーズの強さとのバランスで、「クラウドの粗利率のほうがいい」(CTCの大久保忠崇取締役CTO)とさえ言います。つまり、営業マンの評価を粗利ベースに切り替えれば、市場の変化に適応しやすくなるわけです。
とはいうものの、「利益が出てこそメシが食える」と割り切るならともかく、伸び悩むであろう売り上げをどこでカバーするかという課題は残りそうです。(安藤章司)
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CTC、SAPジャパン、米バーチャストリーム、基幹系特化型のクラウドサービスで協業、従量課金方式で販売へ」メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.10.15」より