アジア初の元素命名権を獲得したとの理化学研究所の発表が、先日、話題になりましたが、こうした基礎研究の多くは、長い年月をかけた地道な努力が求められます。

 分野や業界は違いますが、SIerのコアの米GPS(全地球測位システム)に対する研究も、はや10年余り続いており、高感度・高精度のGPSチップの開発に取り組んできました。残念ながらビジネス的には大成功したとは言い難いものがあるのですが、ここにきて、これまでの基礎研究が日の目を見る可能性が高まっているのです。

 JAXA(宇宙航空研究開発機構)によれば、日本版GPSともいえる「準天頂衛星」を2018年度までに、現在の1機体制から計4機体制へと増やし、本格サービスを始めるとのこと。コアでは、これを千載一遇のチャンスと捉え、これまで培ってきた衛星測位技術の粋を集めて、準天頂衛星に対応したシステム開発に全力を挙げています。

 本紙『週刊BCN』のバックナンバーを見てみると、2005年頃からコアのGPS関連システム開発の記事が掲載され始め、一時期は台湾の大手半導体メーカーに、コア独自のGPS対応チップを製造するところまでこぎ着けたこともありました。

 日本の「準天頂衛星」が本格稼働すれば、山間部や高層ビル街のような、従来のGPS信号が届きにくい場所でも「センチメートル単位」の精度で測位できるようになるといいます。コアでは、例えば「農業用トラクターの自動運転に必要な精密誘導装置に組み込む」(コアの松浪正信社長)ことなどを想定しており、衛星測位に対する“執念”にも似た地道な努力が、大きく花開くことが期待されています。(安藤章司)

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コア チップ開発でGPS市場に参入 携帯電話メーカーに積極攻勢
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.1.14」より