先日、フラッシュメモリ大手・サンディスクのエンタープライズストレージを取材しました。インタビュー後の余談のなかで、産業用メモリカードのニーズがじわじわ高まっているという話を聞きました。「産業用」の製品は、大きさや容量はコンシューマ向けのカードと共通なものの、厳しい温度環境下でも高い信頼性・耐久性を実現しており、監視カメラや工場内の機器などでの記録メディアとして需要があるのだそうです。
IoT=モノのインターネットという言葉が先行したことで、「これからはセンサをネットワークで結んでデータを分析することが不可欠!」という風潮がありますが、実際の市場では、必ずしもリアルタイムでデータを転送することができなくとも、まずはデバイス上に記録しておけるだけで十分な需要があるようです。
似たような話を、農家に情報機器を販売した企業からも聞いたことがあります。カメラや温湿度センサ、モバイル回線を組み合わせたビニールハウスの管理・分析システムを提案していたそうですが、ある農家と商談をしていて“食いつき”が一番強かったのは、分析機能よりも、スマートフォンの画面を通じてハウスのなかの様子が見えること。「えっ、それだけ?」とも思いますが、強風でハウスが飛んでしまっていないか、盗みや荒らしが入っていないか、実際に畑まで行かなくてもいつでも確認できることが、そのお客さんには何より重要だったということです。
大きな絵を描くより、まずはできることだけでも、ニーズはそこかしこに転がっているのかもしれません。(日高 彰)
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<ここに注目!ニッポンのパートナー戦略> 第23回 サンディスク(上)メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.3.23」より