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重要なのは、その場に「居続ける」こと

2016/06/09 15:26

 ADAS(先進運転支援システム)や自動運転――。自動車の価値がソフトウェアに大きく左右される時代、自動車メーカー自ら大規模なソフト開発部門を開設したり、海外でM&Aをする動きを活発化させています。

 自動車メーカーやその系列部品メーカーが自分たちでソフトを内製することで、情報サービス業界に「ソフト開発を委託することが減るのではないか」と、不安視する声も一部で聞こえますが、実態としては、どうやら杞憂といえそうです。

 メーカーが手がけるのはあくまでも次世代のADASや自動運転、果ては知能をもったロボットのようなクルマづくりであり、開発や運用・保守のフェーズは、やはり外部にアウトソーシングするのが合理的。自社のスタッフは、あくまでも世界での競争に打ち勝つ、次世代のクルマづくりに専念してほしいというのがメーカーの考え方のようです。

 自動車業界の“鉄のヒエラルキー”のなかで、たとえ下請け、孫請けに甘んじたとしても、最先端で大規模な車載システム開発・運用は魅力的なはず。重要なのは、その場に「居続ける」こと。そして、培った技術やノウハウを、将来の自社のビジネスに、どうつなげるかが腕の見せどころといえそうです。(安藤章司)

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メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.6.9」より
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