今日のひとことWeb版

頑張りにも限界

2017/11/06 10:00



 ある日系製造業のマネージャーから聞いた話。中国の人件費高騰を受けて、その会社はスタッフの生産性向上が課題となっていました。そこで、社員の就業態度をよく観察してみたところ、スマートフォンをいじっていたり、おしゃべりしたりと、業務に集中していない場面が多々見受けられ、目算すると就業時間の2割ほどに相当したとのこと。

 対策として、就業態度の改善を進めたそうです。監視を強めることで、時間を無駄にせず、就業時間いっぱいに頑張って働いてもらいました。しかし、予想外の結果に。全体の生産性は向上せず、落ち込んだスタッフもいたとのこと。「人間の集中力はせいぜい2時間くらいが限度。ずっと集中して働いてもらうことには無理があった」とマネージャー。もちろん、なまけ過ぎはよくありませんが、その会社では、ある程度ゆとりをもたせたうえで、メリハリをつけて働いてもらうことが重要と判断しました。

 ゆとりをもたせたうえで、生産性を向上するにはどうすればよいのか。出した答えは、やはりITの活用でした。最終的には、システムに置き換えることで、業務そのものを効率化させたといいます。

 つまり、従来のやり方では、いくら頑張っても限界がある。日本では働き方改革が注目されていますが、企業のなかには、長時間労働を防止するための具体的な施策を投げやりにして、スタッフに「早く帰るように」とだけ指示するケースもいまだにあると聞きます。でも、変えるためには、その仕組みを整えることが不可欠ですよね。(上海支局 真鍋武)
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