その他
電力不足、長期化の様相を示す 今こそITの真価を発揮する時
2011/04/28 14:53
週刊BCN 2011年04月25日vol.1380掲載
東日本大震災に端を発する首都圏・東日本の電力供給不足は、長期化の様相をみせている。原因は、放射性物質を漏らし続ける福島第一原子力発電所の事故の深刻さだ。日本のエネルギー政策の柱として推進してきた原子力のリスクが表面化したことで、政策の見直しは避けられない。福島原発事故の状況次第では、関西や中部地区にも電力不足の影響が及ぶ恐れがある。野村総合研究所(NRI)の山田澤明・震災復興支援プロジェクトリーダーは、「首都圏の電力供給不足だけで片づけられない」と、警鐘を鳴らす。
政府の電力需給緊急対策本部が4月8日にまとめた「夏期の電力需給対策の骨格」では、首都圏における前年夏期比のピーク時電力で、大口需要家に約25%、小口需要家に約20%、家庭・個人に15~20%の電力削減の目標値を提示している。さらに、今夏を乗り越えたとしても、今後も夏と冬の電力需要が高まる時期は、電力削減に官民挙げて取り組むことになる可能性が高い。電力問題は「少なくとも向こう3~5年は続く」(NRIの福地学・上席コンサルタント)と危惧する。
福島原発事故の重大性と、放射性物質の恐怖に苛まれる福島住民のことを考えれば、原発によるエネルギー確保は、当面、困難になることが予想される。このため、電力消費が大きい製造設備や、本社機能など経済活動の一部を「単純に西日本へ移せば解決するような話ではない」(同)と、全国的な問題に発展する可能性を指摘する。現に、関西電力では発電電力のうち原子力が約48%を占めており、東京電力の約28%よりも高い。
こうした状況下で、われわれ情報サービス業界に突きつけられた課題は、電力消費を増やさずに、ユーザー企業の生産性や業績を伸ばすことだ。これまでは、電力消費が増えれば発電設備を増やして対応する電力供給側の論理でやってきたが、エネルギー政策の方向性がみえるまでは、それが難しくなる。人の移動を抑制するサテライトオフィスや在宅勤務を支援するシンクライアントやウェブ会議システムから始まり、省電力型データセンター(DC)を活用したクラウドサービス、ITのインテリジェントを生かしたスマートコミュニティに至るまで、情報サービスが活躍する余地は非常に大きい。
もちろん、ITですべての課題を解決できるわけではない。しかし、今やすべての産業でITが活用されており、情報サービス産業はITの専門家集団である。ITホールディングスの岡本晋社長は、かねてから「専門家としてのプライドや、専門家の技術をもって、サービスを提供しなければならない」と説いている。震災でダメージを受けても、電力が限られていても、日本は経済発展を続ける──。専門知識をもったプロ集団である情報サービス産業が、大きな存在感を発揮する絶好のチャンスでもある。(安藤章司)
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