東芝ソリューションの社長に、東芝本体の電力事業出身のキーパーソン、河井信三氏が2011年1月1日付で就任した。電力と密接に関連するスマートコミュニティビジネスをより円滑に進める狙いがうかがえるトップ人事である。東芝ソリューションは、今後国内外で拡大が期待されるスマートコミュニティビジネスで絶好のポジションに位置する重電系SIerだ。河井社長に方針と戦略を聞いた。
経済効果は約3兆2000億円に
──東芝ソリューションのトップに東芝本体の電力事業出身の方が就任されたということは、いよいよスマートコミュニティビジネスに本格進出ですか。
河井 私の出身がどうこうについては、ご想像にお任せします。ですが、東芝グループとしてはスマートコミュニティに積極的に取り組んでおり、グループの中核SIerである当社にとっても大きなビジネスチャンスの一つであることは間違いありません。
──日本の技術が国内外のスマートコミュニティに適用されるとすれば、2020年、その経済効果は約3兆2000億円に達するともいわれています。
河井 電力や鉄道、エコカー、水、住宅、工場などスマートコミュニティの対象は多岐にわたりますから、経済効果は大きい。とりわけ中国やインドなど、経済成長著しい新興国での需要が旺盛で、スマート系ビジネスの成功は、すなわちグローバルビジネスの成功にもつながります。さらに、当社の担当分野であるITは、生き物にたとえれば神経系統に相当する極めて重要な部分。スマートコミュニティにはなくてはならないキーテクノロジーです。
──国内はともかく、海外ビジネスを一足飛びに立ち上げるのは、御社のこれまでの国内メインの取り組みからみて難しい印象を受けます。企業文化を抜本的に変える必要があるのではないでしょうか。
河井 あまり当社社員を下にみないでいただきたい。グローバルカンパニーである東芝グループの一員ですから、変えるとなれば、すぐに変えられます。
──具体的にはどう変えますか。
河井 東芝グループと連携して進めていくことになりますが、東芝グループは、これまでにも海外の鉄道システムや、電力制御のシステムなどで実績があるんですね。システムをつくるという意味では、国内外で実はそんなに違いはない。当社自身がドメスティックに活動してきたからといって、海外に出られないとは思わないし、優秀な当社社員の顔ぶれからしても心配はありません。
現実的にみて、進出先の第一段階として中国市場が挙げられます。中国へ進出する日系企業が増えており、中国重視の当社顧客も多い。東芝グループも複数の事業所を展開しており、かつ中国大手SIerの東軟集団(Neusoft)とは、オフショア開発を中心に15年来の信頼関係を築いていて、地場パートナーとの太いパイプもあるなど、好条件が揃っています。また、インドのデリー・ムンバイ間約1500kmの産業大動脈を整備する日印共同プロジェクトに、東芝本体が日本連合の一員として参画します。こうした海外でのスマート系のIT分野で当社の役割を果たしていく考えです。
──SIerまたはITベンダーで、どこがライバルになってきそうですか。
河井 社会インフラに強い当社のポジションと似ているという点では、国内では日立ソリューションズは意識しています。海外ではIBMやGoogleの動きをみていますが、彼らは電力設備や制御機器など重電系の商材をもっていません。しかし、スマート系ビジネスで神経や頭脳に相当するITを、仮にIBMやGoogleに握られたとしたら、ビジネスとして致命傷になる恐れがある。ソフトウェアの置き換えは難しくても、ハードウェアの置き換えは容易という昨今の状況をみると、ハードのみで勝負するのは厳しいからです。
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