専用線やIP-VPNなどネットワークサービスを主力ビジネスとして手がける丸紅アクセスソリューションズが、ビジネスの領域を広げようとしている。モバイル関連のビジネスに力を注ぐとともに、アプリケーションサービスの提供拡大にも着手している。「ネットワークインフラをもっているという強みを生かして、上のレイヤをカバーする企業として成長する」と話す齊藤秀久社長に、今後の方向性をうかがった。
モバイル関連を新しいビジネスの柱に
──昨年度(2013年3月期)は、丸紅アクセスソリューションズにとって、どのような年だったのでしょうか。 齊藤 メインのビジネスとして手がけている、広帯域の専用線やIP-VPNサービスは、お客様の需要が非常に旺盛だったといえます。計画を上回る増収増益を果たしました。ただ、問題もありました。帯域の増加に伴って設備を増強しなければならず、コストがかさんだことです。コスト削減の策を講じて、なんとか収益を確保しました。
──どのような策を講じたのですか。 齊藤 これまで借りていた回線を自前の回線に切り替えたことが、コスト削減につながりました。自前回線の設置は、一時的にはコストがかさみますが、損益分岐点を越えれば利益になります。また、最新鋭の伝送装置にリプレースしたことによって、これまで1Gbpsを提案していたサービスで10Gbpsを提案できるようになるなど、さらに帯域を広げることで単価アップにつなげて売り上げを増やすことができました。広帯域のサービスは、通信、ゲーム、クラウドなどのサービスを提供する事業者からのニーズが強かったです。
──業績は好調だったようですが、将来に向けての課題についてはどう捉えておられますか。 齊藤 確かに増収増益にはなりましたが、専用線やIP-VPNのビジネスだけでは苦しい状況になるのは否めません。今後、大きく伸びることはないとみています。そこで、これから先は付加価値を提供していくことが重要になってきます。
これはすでにビジネスとして手がけていることですが、専用線を使うお客様に対して、ブロードバンドアクセスサービスをはじめ、セキュアな環境で使えるセキュリティサービスなど、インターネットの周辺も提案していくことを、さらに力を入れて進めていきます。
それと今、力を注いでいるのはモバイル系です。もちろん、通信事業者からモバイル端末を仕入れて売るわけですが、端末の販売を主力に据えるのではありません。お客様がモバイル端末を使って社内システムに安心してアクセスするために、セキュリティやVPNなどを付加価値サービスとして提供することを推進していきます。モバイル系のビジネスはまだまだこれからですが、新しいビジネスの柱になってくるのは間違いありません。
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