恒例の年末インタビューに、NECの遠藤信博社長はいつもよりもリラックスした表情で応じてくれた。遠藤社長の大胆な決断によって、NECは13年4月に新・中期経営計画を走らせ、組織を大幅に再編するとともに、注力する事業領域を「社会インフラ」と「アジア」に定めた。さらに、1300億円を借り入れて、新しい商材の開発に投じるなど、ヒト・モノ・カネに関して、新生NECに向けた基盤をつくってきた。これらの施策が実を結んでビジネスにつながるのは14年以降になるが、遠藤社長の表情からは、方針が軌道に乗りつつあることにひとまず安心している様子を読み取ることができた。
各部門の相互活用を促して新体制を動かす
──2013年上期(4~9月)の業績が前年同期比で減収減益となり、直近のビジネス状況は決して良好とはいえません。新生NECに向けた基盤づくりに取り組んでこられた2013年を振り返って、経営トップとして感じておられる成果と課題をお聞かせください。 遠藤 2013年は、新しい中期経営計画がスタートした年で、同じ方向感をもって「もう一度、皆でNECをつくっていこう」という取り組みの元年となりました。アジアを中心として、グローバル規模で社会ソリューションの展開に力を注ぎ、財務基盤も強化する。これらを方針として掲げて、営業とエンジニアの部隊が一体になって提案活動ができる組織をつくったり、シンガポールに初の海外事業部を新設したりしました。
クラウドの登場によって、いま、ITの提案先が情報システム部門からマーケティング部門や経営層に変わりつつあります。そんな情勢にあって、NECとして、いかにお客様のビジネスに貢献することができるか──。これが、お客様から注文をいただくうえでの決め手になると捉えています。当社の社員がお客様の変化に敏感になって、的確にITの提案を行うことができるよう、スキルを向上したい。そのために、13年に新しい組織をつくって、体制にテコ入れしてきたのです。
その成果についていえば、一つの事例を挙げると、シンガポールの「グローバルセーフティ事業部(GSD)」と連携する研究施設として、13年の9月に、技術者5人体制のラボを立ち上げました。すぐにも人員を50人に増やしたい。GSDとラボはセットになって、アジア各国の現地で汲み取ったニーズを、日本ではなく、シンガポールで迅速に商材化することができます。現時点ではまだビジネスにつながっていませんが、これから事業を拡大するための土台ができたと確信しています。
一方、課題と認識しているのは、社会ソリューションのポートフォリオが揃い、組織もできましたけれども、各部門がお互いを活用できていないなど、体制がまだ十分に機能していないということです。また、とくに海外では、お客様へのコンタクトづくりも改善しないといけません。これらの課題を解決するために、14年は社員のマインドチェンジを図り、方針に魂が入るよう促します。
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