グローバル・オペレーションを目指す

 日本支社は、ITを駆使し、業務の効率化と顧客満足度の向上に成功。現在は、次の段階として、グローバル視点での情報統合と在庫の最適化を支える仕組みづくりに着手している。

 パタゴニアは、自社の生産拠点をもたない。ベトナムやイタリア、トルコ、メキシコなどに計50の提携工場があり、世界各国から米国や日本のディストリビューションセンターに製品を運んでいる。これによって、「地域で在庫が分散するために、支社によって必要な部材などを最適化する必要があった」(佐藤ディレクター)という事態が生じていた。また、生産計画まで踏み込むには、グルーバルERPの導入が求められていた。

 プロジェクトを主導したのは米国本社。「2007年に、米国本社とヨーロッパ、日本の3拠点の情報をERP上で統合するプロジェクトが始まった」(佐藤ディレクター)。米国本社は、マイクロソフトのERP「Microsoft Dynamics AX」を導入し、2009年に稼働を開始。ERPの選定段階では、米ローソンソフトウェアなども候補に上がっていたという。

 現在、日本支社は、ERP導入に向けて既存システムの再構築に取り組んでいる。これまで運用してきた「スーパーカクテル販売 Ver3」は、米国本社の「Microsoft Dynamics AX」に置き換える方針だが、インターネット・カタログ販売部門に関しては、2010年、新たに「スーパーカクテル デュオ販売 Ver6」に業務機能を移植した。このほか、ERPのサーバーが米国にあることを踏まえ、ネットワークの不具合や米国本社の事情などでシステムが動かなくなるなどの事態を想定して、同年に全店舗のPOSシステムを入れ替えた。

 「カタログ販売部門は、顧客からの問い合わせに対して電話などでの即時対応が求められるので、日本支社で独自にシステムを導入している。直営店の売上げ登録機能や店舗の在庫情報などは、POSシステムに実装している。つまり、POSシステムが動けば、直営店のオペレーションは回るようになっている」(佐藤ディレクター)。

 データ連携ツールには、インフォテリアの「ASTERIA」を採用。これによって例えば、POSシステムとカタログ販売部門、「スーパーカクテル デュオ販売 Ver.3」の三つのシステムを連携。2分間隔で同期をとることができる。

 現在、日本で展開する直営店は16店舗以上で、事業は拡大を続けている。佐藤ディレクターは「“死に在庫”を絞っていくことができるように、最適な仕組みづくりを追求していきたい」と展望を語る。

 「Microsoft Dynamics AX」への移行は、2012年1月頃を見込んでいるという。そのときには、適材適所のシステム利用で、グローバル・オペレーションが完成するはずだ。(信澤健太)

鎌倉店が入居する建物に日本支社のオフィスを構えている

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