東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo、山本雅之機構長)は、7月23日、東日本大震災の被災地を含む宮城県と岩手県の住民約15万人から提供されるゲノムの解析などを行うスーパーコンピュータシステム「大規模ゲノムコホート解析システム」の運用を、7月に本格的に開始したと発表した。

 ToMMoは、岩手医科大学と共同で進める東日本大震災の被災地の復興支援事業である「東北メディカル・メガバンク計画」の一環として、「大規模ゲノムコホート解析システム」を活用し、被災地住民の一人ひとりの特性に合わせた疾患の治療や予防を行う個別化医療・予防の実現を目指す。

 「大規模ゲノムコホート解析システム」は、被災地を含む宮城県と岩手県の住民を対象にした大規模なコホート調査を通じて提供されるゲノムを対象に解析。数千人規模の全ゲノム配列の解析を行い、その結果から、日本人の標準的なゲノム配列のデータベースを構築する。さらに、標準的なゲノム配列と一人ひとりのゲノム配列を比較することでゲノムの違いを検出し、個々の診療情報などを組み合わせて、ゲノムの違いと疾患原因との関係を統計的に解析する。将来は、さまざまな解析手法も検討し、約15万人分のゲノム解析を進めていく。

 ToMMoは、このシステムを、ゲノムの解析結果や住民から提供される血液などの生体試料、生活習慣や居住環境、病歴などに関する調査結果、生化学検査結果、MRI画像などの多様なデータを保管するバイオバンクの基盤としても活用する。

 「大規模ゲノムコホート解析システム」は、日立製作所(東原敏昭社長兼COO)が、これまでライフサイエンス分野でのスーパーコンピュータシステムの構築、運用で培ったノウハウを結集して構築。サーバーは、1万6480個の高性能CPUコアを搭載し、ゲノム分野に特化したスーパーコンピュータシステムとしては国内トップクラスとなる401TFLOPSの総合理論演算性能を実現した。また、膨大なデータを格納できるよう、12.3PBの大容量のストレージを備え、最大50PBまで拡張できる。さらに、バックアップ装置を導入し、データ喪失を防止している。

 環境に配慮したシステム運用を実現するために、システムを設置しているマシン室に、COP10値が3以上の高効率空調機器を導入したほか、日立の空調環境コンサルティングサービス「AirAssist」によって、IT機器と空調機器の最適なレイアウト設計を行うなど、効率的な空調環境で消費電力を低減した。