【ラスベガス発】米IBMのバージニア・M・ロメッティ会長兼社長(CEO)は、米ラスベガスで開催中の年次イベントの「IBM Think 2018」で、企業向けAIの開発に引き続き力を入れていく方針を示した。IBMのAIブランド総称である「Watson」のデータ処理能力を今後も倍々に増やしていく。トランジスタの集積数が18か月で2倍になる「ムーアの法則」を引き合いに出して、Watsonの能力向上の速度は、将来「Watsonの法則と呼ばれることになる」と、大きな技術革新のまっただ中にあることを強調した。(安藤章司)

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「IBM Think 2018」で講演する米IBMのバージニア・ロメッティCEO

 具体的には、IBMが独自に開発するCPUの「Power9」と、AI演算に有利とされているNVIDIAのGPUの技術を組み合わせることで、AI演算の速度が従来のおよそ50倍になったと発表。「Watson」は、より少ないデータで高い精度の意志決定を支援することを強みとしており、これにPowerとNVIDIA製GPUの組み合わせでAIアルゴリズムの演算能力を高める。こうした取り組みによって、Watsonの能力を加速度的に増やしていく。

 その上でロメッティCEOは、企業向けAIを活用して、顧客とともにビジネスを変革する重要性を訴えた。「現在、(グーグルなどの検索サイトで)検索が可能とされているデータは全体の2割に過ぎない。残り8割は企業や個人の手元にある」と指摘。IBMが目指す企業向けAIは、「個々の企業が所有するデータを保護しながらAIの学習に生かす」点が、データが他所へ取り出されてしまう一般個人向けのAIと本質的に異なることなると話した。
 
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4万人の聴衆を前に講演するロメッティCEO

 約4万人の聴衆を前にした講演の最後に、ロメッティCEOは「個々の企業にあるデータとAIの活用は、顧客企業やIBMのビジネス、ひいては社会全体にとっても大きな変曲点になる」と、締めくくった。