ニュース

JAXAとヤマトホールディングスが連携、物流電動垂直離着陸機の開発で

2020/12/22 15:29

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とヤマトホールディングス(YHD)は12月18日、「空」の領域を効果的に活用した新たな物流サービスの導入に向け、物流電動垂直離着陸機(物流eVTOL)への装着と地上輸送手段への搭載の両方が可能な大型貨物ユニット「PUPA(ピューパ)8801」の空力形状を開発したと発表した。

「PUPA(ピューパ)8801」の運用イメージ

 PUPA8801は、航空/陸上輸送間の切り替えを合理化し、荷役作業などの物流フロー全体の時間と作業の最適化を達成するため、航空輸送と陸上輸送それぞれの要求を同時に満たす空力形状が求められた。具体的には、航空輸送では物流電動垂直離着陸機としての高い空力特性を、陸上輸送では標準パレットなどの既存の陸送ユニットと共存する直方体に近い形状が必要となる。

 この解決に向け、YHDはこれまで培ってきた陸上輸送などの物流ノウハウに加え、自社で行ってきた物流電動垂直離着陸システムに対するこれまでの研究・開発の成果から導出した条件に基づき、貨物ユニットのコンセプトモデルを企画した。JAXAは、このコンセプトモデルに対して、世界最速レベルの流体解析ツール「FaSTAR(ファスター)」をはじめ数値シミュレーション技術を用いた解析を実施し、航空技術の知見に基づいた検証と形状改善提案を行った。

 今回の開発にあたって、JAXAとYHDは従来の航空機の開発スキームにとらわれず、仮説構築と検証を迅速に繰り返し、他の流体解析ツールに比べて数倍から10倍程度高速なFaSTARを用いることで、約4カ月という短期間で空陸両用のニーズを同時に満たす貨物ユニットの空力形状を開発し、成立性を実証した。

 YHDでは、「新たな空の輸送モード」の構築に向け、今回の成果を踏まえた具体的なサービス性検証を含むシステム開発を続け、20年代前半までのサービス導入を目指す。また、JAXAでは、今回の成果に代表される数値シミュレーション技術と解析ツールを用いた次世代エアモビリティに対するJAXA技術の波及的活用を推進していく。
  • 1

関連記事

NTT東日本、衛星データを活用した被災設備の早期把握に向けた取り組みを発表

JAXAとAT社、人工衛星搭載の軌道上画像化装置を共同で開発

小型の全天球カメラが宇宙に行く、JAXAとリコーが共同開発

外部リンク

宇宙航空研究開発機構=http://www.jaxa.jp/

ヤマトホールディングス=http://www.yamato-hd.co.jp/