3省(総務省、経済産業省、文部科学省)のビッグデータ関連施策パッケージに含まれる個別施策に目を向けると、注目の取り組みが具現化していることがわかる。
世界初の広域SDNを実現
取りまとめ役の総務省は、パッケージの根幹を成す平成25年度の新規施策「ビッグデータ時代に対応するネットワーク基盤技術の確立」に、平成25年度予算で25億円、成立が遅れた平成24年度補正予算で52億円を計上している。同省のICT関連事業のなかでは最大規模の予算となっている。
具体的な事業としてとくに重点的に予算配分しているのが「ネットワーク仮想化技術の研究開発」だ。今年9月には、同事業を受託したNEC、NTT、NTTコミュニケーションズ、富士通、日立製作所の5社が、共同研究開発プロジェクト「Open Innovation over Network Platform」(O3プロジェクト)を立ち上げた。日本を代表するベンダーが集結した、まさに「オールジャパン」のプロジェクトといえる。ビッグデータ関連施策を担当する総務省担当者も、「日本を代表する企業がお互いのノウハウ・技術をもち寄って研究する場を用意できるのは、国のプロジェクトならでは」と胸を張る。
O3プロジェクトの目的は、複数の広域ネットワークインフラを統合管理するプラットフォームや、そこに乗せて使うアプリケーションなど、広域ネットワークの多様な要素を総合的にSDN(Software-Defined Network)化すること。DCなど、企業独自のネットワークへの導入が始まっているSDNを、通信事業者やインターネットなどの広域ネットワークインフラに適用するための研究開発を進める世界初の試みだ。
具体的には、広域ネットワークを統合化し、管理制御を柔軟かつスピーディに行うプラットフォームと、このプラットフォーム上で動かす、ネットワーク設計・構築・運用管理のためのソフトウェアを開発する。さらには、これらの技術を使って制御するネットワーク装置の開発にも取り組む。(本多和幸)