農業ITは、近年、IT市場で注目を浴びている。政府のIT戦略でも、ITによる産業競争力強化の重点分野として農業を取り上げている。ITを活用して生産性や作物品質の向上を図るとともに、そのノウハウをビジネスモデルとしてまとめ上げ、農業を知識産業化して国内外に広く展開していく「Made by Japan 農業」を実現するのが目標だ。
「ジャパンブランド」で輸出額1兆円を狙う
具体的には、篤農家の高度なノウハウをデータ化して、小規模農家も含む多数の経営体で共有・利活用するスキーム「AI(アグリインフォマティクス)農業」を2016年までに確立する。さらに、農場から食卓までをデータでつなぐトレーサビリティ・システムの確立にも取り組み、多種多様な事業者から成る農作物のバリューチェーンを構築。2017年以降、これらの技術を使って生産・流通させる農産物や、技術そのものを安全・安心な「ジャパンブランド」として海外へ本格的に売り出す。
さらに、農業資材や農業機械などの周辺産業とも連携し、AI農業の開発過程で得られたデータやノウハウをセットで販売する複合的なサービスの展開にも力を注ぎ、2018年までに業界の主要収益源の一つに成長させる計画だ。
2020年の最終的な目標は、農林水産物輸出額1兆円の達成。農林水産省の統計によれば、2012年の日本の農作物輸出額は4497億円にしか過ぎず、現時点の倍以上の成長を目指す意欲的な目標といえそうだ。
個別の施策では、当然、農水省がイニシアチブをとり、総務省、経済産業省とも連携していく。(本多和幸)