新たな事業を立ち上げたものの、思ったようにブレイクしない。提案方法を見直し、市場開拓の突破口を探さなければ──。アシストは、中堅・中小企業(SMB)向け事業の拡大を目指して、ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを販売してもらうよう、SMBに強いパートナーへの営業に力を入れている。しかし、SMBはBIツールの活用になじみがなく、パートナーもBIツールの提案が本業ではない。こんななかで、パートナーを巻き込みながらマネージャーとして腕を振るうのは、OA機器の販売会社での営業経験をもつ小高憲和さんだ。(構成/ゼンフ ミシャ 写真/長谷川博一)
小高 憲和(おだか のりかず)
OA機器販売会社を経て、2001年、アシストに入社。一貫して営業に携わる。データベース事業部でパートナービジネスを担当し、その後、複数の部署を経て、14年1月に新設されたビジネスパートナー営業本部のマネージャーに就任。
販社をていねいにフォロー提案活動を活性化
アシストに入社する前、OA機器販売会社で、SMB相手のどぶ板営業が得意な企業で営業を担当していた。だから、売り手の現場が何を考えているかはよくわかる。現在、そのOA機器販売会社は、当社の販売パートナーになっている。
当社のBIツールは、簡単にデータ分析ができて、経営の改善に生かすことができるので、SMB市場での需要は必ずある。しかし、プリンタやコピー機などの目に見えるモノを、比較的短期間の商談で販売することに慣れているパートナーにBIツールを売ってもらうのは、なかなか骨が折れる仕事だ。パートナーは、営業トークで切り札になるBIツールの具体的な活用シーンの情報をほしがっており、それがないとすぐに提案を諦めてしまう。われわれが提案のシナリオを用意するなどして、ていねいにフォローすることが大切だ。
パートナーに響いて、BIツールを積極的に提案する「動機」を与えるものは何か──。これまでSMB向けビジネスが活性化しなかった反省を踏まえて、この半年、3人の部下とともに、パートナーの「ケア」の充実に取り組んできた。チームで知恵を絞って考え出したのは、BIツールとコピー機をセットで提案すること。BIツールでコピー機の利用状況を分析し、用紙や電力利用料の削減につなげる仕組みだ。パートナーは、これによってコピー機を提案する際の訴求力が高まり、案件を獲得しやすくなるので、お客様にBIツールを紹介するモチベーションになる。
部下たちが自発的に動き、足しげくパートナーに通って提案活動を後押ししているおかげで、規模の大きな案件を含めて、ようやく受注が伸びてきた。SMB向け事業は、今、軌道に乗りつつある。この勢いを生かして、さらに売り上げを拡大するために、部下たちに「自分の行動をパートナーに合わせろ」と、口を酸っぱくして言っている。当社とパートナーとでは、企業文化や営業スタイルが違うので、ぶつかることもある。しかし、こちらはパートナーに積極的に動いてもらわなければならない立場だ。たとえ夜遅くに電話が入って「すぐに対応してくれ」と要求された場合にも、「はい、かしこまりました」と快くリクエストに応えることがとても大切だ。部下たちに、「できない」とは言わせない。
SMB向け事業には、大きな可能性を感じる。今期の目標を前期比200%と高く設定し、パートナーを巻き込んで達成したい。プレッシャーが大きいなか、仕事を忘れてリフレッシュするのは、趣味のサーフィンに没頭しているとき。週末、千葉の外房でサーフィンを楽しみながら活力を養う。
私の営業方針を表す漢字は……「伸」
アシストは、現在、販売パートナーとともに、中堅・中小企業(SMB)市場の開拓に取り組んでいる。SMBは、これまで大手企業向けの事業を展開してきた当社にとって新しいマーケット。開拓には、パートナーに当社の商材を積極的に提案してもらう「動機」を与えることが大切だ。パートナーとは営業手法が違うので“文化”の衝突もあるが、われわれから歩み寄り、動きをうまく合わせてSMB向けビジネスを大きく伸ばしたい。