徳島県のテック情報は、地方自治体と医療機関向けにシステムを提供し、2024年度、25年度と連続で過去最高の売り上げを更新した。自社開発の「STORK(ストーク)」シリーズなどで、システム標準化や業務管理の需要を掘り起こした。NTTぷらら(現NTTドコモ)の社長も務めた板東浩二会長兼社長は、既存事業と経営基盤を強固にしながら、新規事業の立ち上げを模索する考えを示す。
足を運ぶ保守に強み
――会社の紹介を。
徳島県や県内の有力企業が中心となり、1968年に設立された徳島電子計算センターを前身としている。地域密着型の情報システム会社として歩んでおり、現在の主な事業領域は公共分野と医療分野だ。
板東浩二 代表取締役会長兼社長
公共分野では、自治体向けシステムの受託開発やネットワーク構築などを手掛けてきた。直近では、自治体システム標準化の需要がある。現場では単にガバメントクラウドに移行するだけではなく、既存システムとの連携が求められている。そこで、当社では連携システムの「TecSTORK.Gov 共通基盤」を開発し、徳島市のガバメントクラウド上で稼働している。各地域に地場のITベンダーが根付いているため、公共システムを他地域へ広げるのは簡単ではないが、広域展開の可能性も探っている。
医療分野では、病院のバックオフィス向けソリューションを展開している。全国にある日本赤十字社の92病院に、財務会計や人事給与のシステムを導入しており、就業管理システムも70病院以上に広がっている。この実績を基盤にほかの病院への横展開も進めている。
過去には大きな投資がうまくいかず、債務超過に陥った時期もあった。その後、売り上げと利益の回復を優先して立て直してきた。一方で、その過程では人材育成や新技術、新規事業への投資を十分に進められなかった面もある。25年度の売上高は37億円で、過去最高を更新した。今後さらに成長するためには、公共、医療事業を基盤にしながら、新たな事業の柱を育てる必要がある。
――強みは何か。
最大の強みはシステム導入後のアフターケアにある。特に医療分野では、開発した担当者がそのまま保守にも関わり、現場からの問い合わせに丁寧に対応してきた。これが評価され、各地の系列病院に導入が広がった。北海道から沖縄まで全国の病院に販売しているため基本はリモート保守だが、導入時や更改時には現地に足を運んでいる。
他社製品の販売でも、その強みを発揮している。医療現場の画像ファイリングシステムの「Claio」を提供するファインデックス(東京)のパッケージ製品について、当社が導入、保守している案件では、現時点で解約が起きていない。導入後の問い合わせ対応や運用支援など、顧客と長く伴走できることが競争力になっている。
公共分野でも運用力は重要だ。システムの標準化によって大手ベンダーと組む場面が増えるが、運用や保守の領域で顧客に近い立場から価値を出すことが、当社の役割になる。
経営基盤を強固に
――注力していることは。
30年度に向けた中期経営計画を策定した。目指しているのは、単なるSIerから顧客の変革に伴走する「シン・DXパートナー」に生まれ変わることだ。
これまでは、受託開発やパッケージ販売が事業の中心だった。ただ、今は自治体や医療機関でも「DXと言われても、何をどう進めればいいのかわからない」という状態にある。システム開発に終始せず、まず顧客の課題を聞き、業務全体のグランドデザインを描く。そして実行プランを提案し、実装、運用まで伴走するパートナーになりたい。
自社の経営基盤の強化にも取り組んでいる。社内DXを通じて、情報を見える化し、意思決定のスピードを速めている。新しいことへのチャレンジを後押しする人事制度改革も1年がかりで進め、マーケティング力や営業力の強化にもつなげたい。
公共、医療に続く第3の柱につながるような大口顧客の獲得や、資本業務提携やM&Aを含めた新規事業の確立にも力を注ぐ。創業60周年を迎える28年までの3年間を基盤強化の時期と位置付け、売り上げや利益に反映されるのは29年度以降を見据えている。
――生成AIに関する取り組みは進んでいるか。
開発業務で部分的に使ってきたが、本格的な動きはこれからだ。このままでは乗り遅れるので、AI推進チームを立ち上げた。ただ、日常業務を進めながら習得するのは難しい側面もある。そこで、AI導入を支援するコンサルティング会社の活用も検討している。
――人材の確保はどうか。
最大の課題になっている。徳島県は人口減少が進んでおり、若年層が大学進学や就職で転出すると、なかなか戻ってこない。また、地元で理工系に強みを持つ徳島大学からの採用が多かったが、減少傾向にある。そこで、同大学の教員と連携したインターンの実施や共同開発など、教育機関との関係づくりを模索している。
これまではエンジニア中心の採用だったが、今後は経理や財務、総務、広報、企画、法務など、経営基盤を支える人材も育てていく。人材育成には時間がかかるが、長期的な視点で組織を変える。
Company Information
1968年に徳島電子計算センターとして創業し、88年に現社名に変更。連結子会社に徳島データサービスがある。社員数は3月末時点で167人。